日本語の特徴の一つに、擬音語や擬態語の多さが挙げられます。
これは、欧米と比べて物事を曖昧に表現するというところが根源にあるように思いますが、その擬音語や擬態語の一つ一つが、いつ、だれによって生み出されたのかという点も、たいがいは不明、未詳のままです。
ただ、いくつかの擬音語や擬態語の誕生に噺家が関わっていることは、間違いないように思います。
たとえば、『へっつい盗人』で、盗みに入った道具屋の石灯籠の頭の部分を落とすところでは、
「ガラガラガッチャンドンガラガッチャン」
とやって、最後の、
「プップー」
が三輪車のラッパを鳴らした音やとか、小便の、
「ジャジャージャージャー…… シャシャーシャーシャー…… シュー…… ピチョン…… ジャジャージャージャー…… ササラーサーラーサー……」
てな、今も落語で受け継がれております擬音語は、たいがい初代桂春団治師の考案によるものだそうです。
その他、
「よさのよいよい、よいよいよとさ……」
てな、わけの分からんかけ声も春団治師が始められたようで、こうした面白さも重なり合って、擬音語や擬態語が広まっていったように思いますが、これを例の友人に話しましたところ、
「何か落としたときに、ドンガラガッチャン、プップーって、音がしまっしゃろ、とか、わざわざ小便をジャジャージャージャーとか言うてるのは、一般社会においてはキミの他に耳にしたことがないけれどなぁ……」