過去を振り返って、
《あのとき、もしこうしていたら、人生は……》
と、思ったことがある方は、少ないのではないかと思います。
高校の現代文の授業で、芥川龍之介先生の『羅生門』の主人公、下人のその後を生徒に書かせる先生がいらっしゃるそうですが、盗人に身を落とした下人が過去を振り返って、もし、下人が老婆から衣服を剥ぎ取らない選択をしていたら…… てな展開も想定できるかと思います。
〈こんな夢を見た。〉
から始まるアンソロジー『眠れなくなる夢十夜』(新潮文庫)を読みました。
当代屈指の作家十人の作品は、いずれも面白く、
「なるほど、こんな発想もありか……」
と感嘆しきりでございました。
中でも最後の小路幸也氏の『輝子の恋』は、これも夏目漱石先生の別の作品をモチーフにした作品で、まさに、
《あのとき、もしこうしていたら、人生は……》
という趣向で印象に残りました。
《人生における選択は、時として、自分の人生よりも、他者の人生を大きく左右する……》
例によって例の友人に、そんな話をいたしましたところ、
「キミの場合、それを自分の問題として捉えてへんところに問題がある」
と、また例のごとく応答しましたので、
「そう言いながら、君はアタシとこうやって会話する選択をしてるやないか」
と、言い返しましたところ、
「ボクがいてへんかったら、このブログをキミは続けていられへんかったやないか」
「でも、このブログで人生を左右される人は多分いてへんわい」
「いや、もし、このブログを読む選択をせえへんかったら、もっと有意義な時間を、いや、もっと充実した人生を過ごせたんやないかと、皆、思うてる」
「ということは、このブログを読んでいる人は、皆、人生を左右されているんや」
「わかってるやないかい」
なんや、ようわからんようになってしまいました……
デンデン
(誤摩化すな!)