使われない四字熟語《掩耳盗鐘》

四字熟語の中には、一般によく使われている言葉と、そうでない言葉があります。

辞典には意味はもちろん、その故事まで掲載されているのに、用例が載っていないという言葉です。

 

《掩耳盗鐘(えんじとうしょう)》

も、その一つかと思います。

〈槌でたたき割って重い鐘を盗もうとした男が、その音を聞いて他人がこの鐘を奪いに来るのを恐れて、自分の耳を塞いで聞こえないことにした〉

という故事を持つ言葉で、

[浅はかな考えで自分を欺き、悪事を隠したつもりでも、いつのまにか知れ渡っているたとえ]

てな意味があると、三省堂の新明解四字熟語辞典に掲載されていますが、用例がありません。

 

たとえば、組織のためだと誰かのためだと、いあかにも正当な言い訳を述べて隠蔽を図るような事例は、世の中、いくらでも転がっているように思います。

にもかかわらず、そうした具体的な事例が挙げられていないのは、まさに《掩耳盗鐘》がなされている証左ではないかと思います。

 

それを例によって例の友人に話しましたところ、

「キミの場合、すぐに知れてしまうのに、あまたの失敗を隠蔽して生きてきた人生そのものが《掩耳盗鐘》だよね」

 

アタクシの人生が四字熟語の用例になるなんて、光栄の至りでございます……