悪魔と子供の《遊び心》

大ヒットした氷菓子〈ガリガリ君〉のメーカー、赤城乳業のコーポレート・スローガンは、

「あそびましょ。AKAGI」

だそうです。

 

「《遊び心》を持て」

とはよく言われますが、たとえばトップや上司がそう言ったからといって、額面通りに遊んでいると、

「仕事は遊びじゃないぞ」

と叱られます。

それでは、と、真面目に仕事に取り組みますと、

「《遊び心》を忘れるな」

なんて言われて、じゃあ、アタシはどうしたらいいの、てなことになっているのが、日本の現状ではないかと思います。

 

また、

『仕事のできる人とか成功者と称される人は、みんな《遊び心》を持っている』

なんてことがちょいちょい喧伝されますが、《遊び心》を持っている人が、みんな仕事ができるとか成功しているとかと申しますと、必ずしもそうではありません。

実際、アタクシなんぞは、《遊び心》満載の人間でございますが、成功しているわけでもなければ、仕事ができる人だと評価されたこともありません。

 

それでも、忙しそうにしている人を見かけて、

「仕事なんか止めて、これから遊びに行きましょ」

と、ついその方の耳元で囁いてしまうことがありますが、それを誰もアタクシの《遊び心》とは解してくださらぬばかりか、

「悪魔の囁き……」

と称しては、

「怨敵退散、怨敵退散……」

などと念じて、どなたもアタクシと遊んではくださいません。

 

そんな話を例によって例の友人に話しましたところ、

「《遊び心》の前には、たいてい《子供ような》という枕詞がついているけれど、キミの場合、《悪魔の誘惑のような》という、本来の《遊び心》とは異なるレッテルがついていることに、気づくべきだろう」