昨日の《三題噺の会》でいただきましたお題は、
『あごだし』『風光明媚』『般若心経』
でした。
『あごだし』と申しますのは、トビウオの出汁で、広島で作られておりますペットボトル入りの製品が、伝楽亭最寄りの地下鉄千林大宮駅を地上に出た千林商店街に設置されております自動販売機で販売されております。
ひときわ異彩を放って怪しみながらこれを見る人はすくなくありませんが、その味を知って密かに愛好する方も少なくありません。
今回は、バレンタインデーも近いことから、きっと『バレンタイン』や『チョコレート』が出されるだろうと考えて、
〈義理チョコ〉〈友チョコ〉〈偽装チョコ〉〈板チョコ〉〈闇チョコ〉〈ちょっとチョコ〉
なんてところから、バレンタインチョコの新商品企画会議てなシーンを設定しておりましたが、昨日お越しのお客様のそのほとんどが伝楽亭の常連さんばかりでございましたので、そんな時節時流に沿ったお題で作られる噺など望んではいらっしゃらなかったようで、事前に考えておりましたチョコレート案は廃棄いたしました。
また、いつものように最後に登場することとあいなりましたので、かかし師のうどんに使う『あごだし』は使えず、玄関師の『顎足付き(あこだし付き)』『空港名備中空港(ふううこうめいびっちゅう空港)』も使えず、八景師の、
「嫁はんに『あごだし』を買いにいかせて、今、『般若心経』と唱えながら、『風光明媚』な景色を想像してたんや」
も使えず、
[うどんの出汁に使う『あごだし』を嫁さんに買いに行かせたけどなかったんで、『空港名備中空港』からうどん県香川県まで行ったけれど、途中、弘法大師の善通寺に立ち寄って『般若心経』を唱えているうちに執着する己の心に気がついて……]
という噺を、出番直前で断念せざるをえませんでした……
え?
(そのままでいけたんちゃうか……)
そういえば、そうでんな……
けど、オチがでけまへんでした。
(うまいオチができないのは、いつものことやろ!)
デンデン