虎の威を借る『嫌われる勇気』

岸部一郎氏と古賀史健氏の『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)をベースにしたフジテレビのドラマ『嫌われる勇気』に、一般的なアドラー心理学の大きく異なる見解を広める、として〈日本アドラー心理学会〉が、番組の中止、あるいは脚本の大幅な見直しを求める抗議文を送ったそうです。

 

『嫌われる勇気』が出版されていることは承知しておりますし、そのタイトルでドラマが放映されていることも知っておりますが、アタクシは本を読んでもおりませんし、ドラも見ておりませんから、内容に関するコメントはできません。

ただ、ドラマ性のない心理学を扱った書籍を、どのようにドラマに仕立てるのか、という疑問は、かつて、世の中のいろんな職業を紹介した、村上龍氏の『13歳のハローワーク』がミリオンセラーになって、ドラマが制作されたことと同じではないかと思いました。

たぶん、ドラマ性のない書籍をドラマ化するということは、その書籍に触発されて、まったく別の作品を作り出した、ということではないかと思います。

 

ベストセラー小説でも、映画化されると、作者は、

「原作とは別物」

と切り捨てることがあります。

ですから、ドラマや映画の制作者は、

「安易にベストセラーに便乗するのではなく、正直に、その作品に触発されて、こんなドラマや映画を創ってみました〜!」

と、そのまんまの原作ではありませんよ〜、と正直に述べるべきかと思います。

 

あるいは、『竹取物語』を下敷きにした、スタジオジブリ高畑勲監督の『かぐや姫の物語』のように

「こんな解釈を試みました〜」

と、喧伝すべきかと思います。

 

でなければ、仮に著名な何かを下敷きにしていたとしても、それと知られぬように映像化するのが、潔いようにも思います。

 

てなことを、例の友人に話しましたところ、

「でも、キミも権力者や著名人、あるいは世間体のよい肩書きに寄りかかろうとしているよね。そかも、世間に覚られれないように……」