たとえば、新人を採用する際には、
「既成の枠にとらわれない、新しい視点を持った人材を……」
なんてことを宣いながら、研修期間が終わって、新入社員が仕事に慣れてきた時期に、
「今年の新人は、ほにゃららだ……」
と、その特徴を一言でくくってしまう言葉が世の中に出回るようになりますと、それをどこかで仕入れた管理職なんかが
「まあ、今年の新人は、ほにゃららだからな……」
なんてことを、さも物知り顔で口にしているようなシーンが、世間にはけっこう見られるのではないかと思います。
学校でも、
「今年の新入生は、去年と比べて……」
や、
「この学年は、こういう学年だから……」
などと評されているのではないかと思います。
企業であれ、学校であれ、そうしたことが、
「彼らはほなやららだから……」
というレッテルになって、逆に新入社員の新しい発想や改革を妨げている、あるいは、生徒の新しい能力の開発や個性を伸ばすチャンスを失わせているのではないかとも思います。
「失敗を咎めないでいいところをほめて伸ばそう」
なんて、国家的スローガンのような台詞を耳にすることが多々ありますが、新しい発想や改革が、既成の視点の転換を基盤とするなら、それ以前に、年中行事のように貼られる新人へのレッテルにとらわれないことが必要なのではないかと思います。
こんな話を、例によって例の友人にいたしましたところ、
「キミは、いつもそんなことを言って、人と違うところをアピールしようとする人間だよね」
と申しましたので、
「それが、すでにアタシに対するレッテルではないのか」
と抗議いたしましたら、
「じゃあ、間違ったレッテルをボクはキミに貼っているのか」