週刊少年ジャンプ(集英社)の今週号に掲載されている、尾田栄一郎さんの『ワンピス』は、秀逸です。
そして、感動的です。
麦ワラ一味の一人、サンジとその家族、ヴィンスモーク家もろとも抹殺しようと企てるビッグマムの娘、プリンは、額に第三の目とともに悪意を隠し持った娘ですが、純情可憐を装うぶりっこです。
その彼女が、結婚式でサンジを抹殺するつもりでいることは、実はサンジも承知していましたが、プリンの額にキスをしようとしたそのときに、彼女の第三の目を見て、
「きれいな瞳だ」
と、口にしました。
その瞬間、その第三の目のせいで辛い思いをしてきたプリンは、涙を流してそこにひざまずいてしまいます。
プリンの思惑を知っていながら自分の正直な思いをこぼしたサンジに、人間の本来あるべき一面を垣間見ることができるのではないかと思いました。
もちろん、女性好きのサンジならではという点は見逃せませんが、偽りが飛び交う状況にありながら、そんな思惑、敵味方を超越した気持ちの表現が状況を一変させる……
いつのまにか忘れてしまっていた大事なことを、思い出させられたように感じました。
そんな感動を、例によって例の友人に話しましたところ、
「キミの場合、昔からそんなことには気づきもしなかったはずだよね」
なんてことを申しましたので、
「失礼なことを言うな!」
と、怒りましたところ、
「あ、いや、私が間違っていた」
と、珍しく自分の過ちに気づいたように謝ると、
「キミの場合、気づいてもすぐに忘れるから思い出すというところは、まさにキミの主張するとおりだ…… でも、思い出す尻からまたすぐに忘れる……」