ローカル路線バス乗り継ぎ旅の行き先か行く末か……

ありきたりの旅番組に新風を吹き込んだのは、間違いなく、太川陽介さんと蛭子能収さんのコンビが毎回ゲストのマドンナとともに路線バスだけを乗り継いで目的地に向かう、テレビ東京の、『ローカル路線バス乗り継ぎ旅』ではないかと思います。

だから、NHKまでバス旅番組を取り入れるようになったのではないかと思いますが、その本質までは、なかなか真似のできるものではありません。

笑福亭鶴瓶さんだからこそできる『家族に乾杯』が、NHKでは精一杯かと思います……

 

名所名物特産品を予定に組み入れた情報提供型旅番組よりも、ほんとうに途中で何が起こるかわからないばかりか、目的地に到着しないという、旅番組としてはあってはならないシーンまで放送するというところが、『ローカル路線バス乗り継ぎ旅』が視聴者を惹き付けた要素の一つになっていたのではないかと思います。

 

たとえば、綿密な計画を立てて実行する行為は旅行と呼んで、目的を達成することを第一に掲げる仕事と大差はありません。

家を出てからどっちに足を向けるかということを決めて、もちろん、途中で気が向けば寄り道をして、路地に入り込んで、もしかしたらお宿も取れないかもしれない行為を、旅と呼ぶなら、まさに自由を満喫していると言えるでしょう。

 

ただ、それもテレビ番組という枠の中でのことですから、枠を打ち破るのは、やはり難しいことなのかもしれません。

 

え?

(オチは?)

 

アタシの人生、バスの旅……

 

え?

(そんなんわかってる!)

 

すみません。

わかっていても、予定調和の枠からは、なかなか抜けられないようで……