指名手配者から学べるかもしれない不謹慎なこと……

面識のある人ではない。

テレビに映る芸能人や政治家などでもない。

でも、昔の顔を、駅や交番などでときどき見かける人がいます。

指名手配されながら、長く消息のわからない犯罪者です。

 

1971年に警察官を殺害した容疑で、過激派中核派の大坂正明容疑者と見られる男が捕まりました。

46年近く逃げていた勘定になります。

 

整形を繰り返して何度か警察の手をすり抜けていた女が捕らえられたとか、お〜いと呼びかけられる手配ポスターの男が死亡していたなどといった、息をするために海面に姿を現すクジラのように、ときおり重要手配者の逮捕、消息が伝えられます。

そたびに、この人は、いったいどうやってこれまで生活してきたのだろう、生きるための危機と絶望をどうやって乗り越えてきたのだろうと思ってしまいます。

 

もちろん、マスコミがその逃亡生活の一面を報じてはくれますが、そうまでして生き続ける彼らの内面まで教えてはくれません。

 

冤罪という可能性もあって逃げているのかもしれませんが、いずれにせよ捕まることをよしとせずに官憲を逃れて生きるためには、それなりの術と精神があるはずです。

 

もしかすると、そうしたことは、現状に苦しんで死を思う人の視点を変えて、生きる方向を示唆してくれるかもしれません。

 

芥川龍之介先生の『羅生門』を思い出しながら、誠にもって不謹慎な発想を、ふと、してしまいました……