藤井四段が使う言語は、近頃の中高年に発するものとは違います。
連勝を重ねて心境を問われるたびに、
「僥倖」
「望外」
そして新記録を樹立した今回の喜びは、
「特別な感慨」
でした。
昨今の中学生なら、
「うれしかったです」
「よかったです」
ちょいとマシな中学生でも、
「よかったと思います」
「うれしいと思いました」
が、関の山かと思いますが、藤井四段は、語彙力の不足する大人をも凌駕する言語の持ち主です。
「最近の若い者の言葉使いはなってない!」
とは、おそらく太古の昔から言われているようにも思いますが、そんなことを指摘するばかりで、それについて、現状の教育制度が効果をあげているとは言えません。
そうした訓練を施してくれるのは、芸能界ぐらいしか残っていないように、アタクシ、個人的には思っていましたが、藤井四段の発する言語は、将棋界でごく自然に使われている言葉のようです。
わざわざ教育するよりも、正統派の言語表現を受け継いでいる世界に入れさせる方が、子供の言語教育にはいいように思います。
え?
(オマエも将棋界で言語能力を磨け!)
そう言われましても、アタクシ、将棋はかっらきし弱い人間でございますから、言語能力を磨く以前に、将棋界の仲間に入れてもらえないかと……