自分の言葉で語るということ……

都議会議員選挙で敗れた自民党の候補者が、

「自分の言葉で語ったつもりだったのに……」

という敗戦の弁を述べたというニュースを見て、思いました。

「ああ、この人も、自分の言葉で語れば必ず相手に伝わるという神話の信奉者なのんだ……」

 

だいたい、自分の言葉って、何やねん!

皆、同じ日本語を使うてるんとちゃうんかい!

 

にもかかわらず、自分の言葉で話さなければならないという強迫観念を持っている方は、自分探しとか自己実現とかっていう言葉と同じ種類の記号をありがたく奉じている方と同類ではないかと思います。

どこかに本当の自分がいて、自分でなければできない何かがあるはずだ、と思っている人ほど、自分の言葉で話せば誰でも自分のことをわかってくれると、信じているようにも思います。

おそらく、自分探しとか自己実現なんて言葉に振り回されている人は、いつまで経っても自分の言葉で話すことなどできないのではないかと思います。

 

だから、逆に、著名人やら偉人やらが残した言葉を集めた本があちこちに出回っているのではないでしょうか。

著名人や偉人が残した言葉は、まさにその人でなければ出てこなかった、自分の言葉かもしれませんが、それを知っていくら披露したとしても、派手な貸衣装を着て見せているだけのようなもので、やっぱり自分の言葉にはなりません。

 

もし、ほんとうに自分の言葉で語ろうとするなら、むしろ、自分の言葉なんかどこにもないんだと悟って毎日を過ごすほうがいいように思います。

 

え?

(ほんで、毎日更新してるこのブログの、どこに自分の言葉があるんや!)

そやさかいに、毎日ブログを更新してまんねや……