安部公房先生の『鞄』と『ひよっこ』の自由論

今朝のNHKの朝の連続ドラマ『ひよっこ』では、自由がテーマになっているようでした。

 

ドラマに限らず、古今東西自由を扱った作品は数々ありますが、アタクシ、個人的には安部公房先生の『鞄』が屈指の名作ではないかと思います。

 

主人公の事務所が半年も前に出した求人に応募にきた若者は、手にした鞄に導かれて訪れたと語り、その鞄を主人公が持って外出すると、事務所には戻れなくなったが不安はなく、むしろそれで自由を感じた、という小説です。

その重さによって鞄が進みやすい道を示してくれることで、安心して自由を感じることができる……

 

「イギリス人は、強制があってはじめて主体性や自由が生まれるというパラドックスを理解している」

そうです。

日本に自由の観念が入ってきたときに、この発想が欠如していたようにも思います。

 

鞄を、強制するものととらえてもかまわないし、誘導づるもの、あるいはよりよく導く存在ととらえても悪くはないかと思いますが、いずれにしろ、そうした鞄を持たされずにアタクシどもの自由はありえないということかと思います。

 

こうして自由にブログを書いておりますようで、今回は、特に『鞄』がなければ、書けなかったというこでございます……