先ほどのオッサン……
失礼。
お三方の話題は、
《すべてを説明していいのか?》
というところにも及びました。
たとえば、『お玉牛』では、闇の中で牛の汚いナニを手にして、
「くさ」
と言うところがありますが、お客様は、それまでの状況から、その手についているものが、すくなくともお玉の鬢付け油ではなく、牛の臭いナニであることはわかっているから、あえて、くさ、てなことを言う必要はなく、まったくその仕草だけで十分なのではないかと、いうことです。
といって、古典芸能である落語を見て、
「なんや、ようわからん」
という感想を持たれる初心のお客様は少なくありませんから、
「そんなんわかってるで」
という方がいらっしゃったとしても、すべての方にご理解いただけるように尽力すべきではないか、という論議もされました。
小説においては、昔から読み手に求められる、
《行間を読む》
シナリオにおいては、書き手の戒めとされる、
《安易にナレーションを入れない》
といったところになるかと思います。
この問題も、演者の考え方によって変わるようですが、創作者としても心得ておかなければならないポイントでもあると思いました。