手塚治虫先生の『鉄腕アトム』第一話の、手書きシナリオ36枚が、国際日本文化研究センターの大塚英志教授の調査によって発見されたそうです。
映画史研究家の牧野守さんが若いときに、手塚先生に誘われて書いたシナリオで、手塚先生の指示も書き込まれているそうです。
新潮社が、太宰治先生の『斜陽』の、不明だった直筆原稿が見つかったと明らかにしたそうです。
こちらは、直しがあまりなかったそうで、調査にあたった早稲田大学の中島国彦名誉嬌教授は、
「太宰の『斜陽』への強い思いが伝わる」
と語られたそうです。
以前、司馬遼太郎記念館で、展示されていた司馬遼太郎先生の直筆原稿を拝見いたしましたが、かなり空白をとって書かれた文章に、多数の校正書き込みがありました。
それだけ、創作には常にそれだけの呻吟があることを窺わせる原稿でした。
手塚治虫先生の作品には、漫画とは言え人間とは何かということがテーマになっています。
小説のテーマも、人間です。
人間をテーマとする書き手自身が、どうやって創作したかという、まさに作家の人間としての姿は、手書きの原稿だからこそ浮かび上がるのではないかと思います。
ところが、現代ではシナリオでも小説でも簡単に修正がができるパソコンで書き上げられますから、そのような呻吟する作家の姿や校正の痕跡は残らないのではないかと思います。
そこで、
「後世の研究者のためにパソコンを使わずにアタクシも原稿は手書きにするよ」
と、例によって例の友人に話しましたところ、
「まあ、パソコンオンチのキミが、だからといって手書きの原稿を残したとしても、結局紙くずにしかならないということに変わりはないよね」
と、多分、皆様の予想通りの返事が返ってきました。
え?
(このブログも紙くず同然だ!)
って、オチはそこですか……