クボタとゴルゴの〝だから〟と〝しかし〟

農機製造会社クボタの最近のキャッチフレーズは、

《壁がある。だから、行く。》

です。

 

通常なら、

「壁がある。けれども、行く」

という、〝だから〟という順接の接続詞を使うのではなく、〝かえれども〟や〝しかし〟とうった逆接の接続詞を用いるところかと思います。

 

こうしたキャッチフレーズに限らず、逆接を順接に変えて表現する技法は昔からあります。

「そのプロジェクトは確かに面白い。〝しかし〟、どうなるか見通しがつかないものに資金も人も回せない」

「どうなるか見通しのつかない企画〝だから〟、現状を打破出来るのではないか」

てな具合に、まさに逆説的に順接を用いる人は少なくないのではないかと思います。

 

クボタのキャッチフレーズが、もし逆接だったら、困難にも負けずに取り組む姿勢が出るかもしれませんが、それでは当たり前で面白く在りません。

そこを順接にすると、面白がっている雰囲気が醸し出すことができます。

 

困難な状況になればなるほど、

「面白くなってきやがったぜ」

というルパン三世(作・モンキーパンチさん)と同じイメージを見た人に与えることができるかと思います。

 

ただ、さいとう・たかを先生のゴルゴ13の台詞の中には、〝しかし〟も〝だから〟も出てこないように思います。

本日、6日の日めくりカレンダーのお言葉は、

《俺に仕事を依頼するのに〝大義名分〟はいらない》

ですから、一般に大義名分や理由を述べるために用いられる、〝だから〟や〝しかし〟といった接続詞はゴルゴ13には必要がないということになります。

使うときは、感情的にまだ何かを述べようとする相手の口を封じるために吐く、 

「〝だから〟、何だ」

ぐらいかと思います。

 

〝しかし〟を〝だから〟に置き替える手法も悪くありませんが、ゴルゴ13のようにまったく使わない、あるいは、

「〝だから〟、何だ」

てな言葉を用いるとかっこいいかと思い、先日、アタクシも使ってみました。

 

「あなたはとてもいい人よ」

「〝だから〟何だ……」

「そこは、〝だから〟じゃやなくて、〝でも〟……」