平成2年(1990)から住友生命保険が主催している、今年の世相を4文字で表現する『創作四字熟語』の優秀作品10点が発表されました。
将棋の藤井四段の、最多の公式戦29連勝を達成した偉業を讃えた〈棋想天才〉や、宅配業界の人手不足を題材にした〈荷労困配〉や、プレミアム金曜日を〈金曜感謝〉などが報じられています。
毎年、『創作四字熟語』が発表されるたびに、違和感を覚えておりましたが、今年、その違和感がどこからくるのか、遅まきながら気がつきました。
かれこれ30年近く開催されている『創作四字熟語』ですが、この企画から生まれた四字熟語を、アタクシ、寡聞にして存じ上げません。
そもそも四字熟語というものは、すべて過去の誰かの手による創作であって、その創作された四字熟語は、世間の人々が使ってはじめて後世に伝えられる言葉となったわけで、一年の世相を表す言葉として誰かに選ばれた『創作四字熟語』なるものは、世間に広まって使われる言葉にはならないのではないかと思います。
世相を表すなら、なにも四字熟語である必要はなく、先日も触れました、漢字一字の『今年の漢字』で十分かと思います。
あるいは、そんな中途半端な『創作四字熟語』なんかよりも、これも毎年公募して選ばれた言葉をカレンダーにする『御教訓カレンダー』のほうが、はるかに素晴らしいのではないかと、アタクシ、個人的に思っております。
でも、こうした違和感を取り除こうとするなら、これからどんどん使えばいいのかもしれません。
「あいつはお笑い界の〈棋想天才〉だ」
でも、
「あいつの奇想天外な言動が、お笑い界に変革をもたらした」
でもいいように思いますし、
「宅配業界に限らず、どの業界でも〈荷労困配〉だ」
でも、
「どの業界でも従業員は皆疲労困憊している」
で十分だとお思いますし、
「今日は、〈金曜感謝〉の日だな」
でも、プレミアムフライデーがなくなったら……
やっぱり、
「困った困ったこまどり姉妹やで!」
ボカ、ドス、ゴン!