ジャッキーチェンさんの『カンフーヨガ』を見てきました。
前にもお話しいたしましたように、ジャッキーチェンさんの映画の魅力は、一切CGを用いず、人間の肉体だけを駆使したところにあります。
それは、ジャッキーチェンさんとその敵役、あるいはショッカーの戦闘員的なアクション俳優のみならず、ヒロインまでもが、
「えー! そんなアクションまでやるの〜!」
なんてガチンコアクションで、それでもジャッキー映画ファンなら、もう慣れていることではありますが、今回は、ライオンやコブラやハイエナにまで見事な演技をさせていたところには、さすがに、やられた、と思いました。
特に、激しいカーチェイスに酔った芝居をライオンがしていたところには、もう脱帽するほかございませんでした……
また、設定やストーリー自体は、『インディージョーンズ』に代表される、よくある冒険譚でしたが、こちらが、
「これって、インディージョーンズのパクリやな……」
と思ったところで、
「インディージョーンズみたい……」
とジャッキーチェンさん自らの台詞に、笑ってしまいました。
さらに、香港映画でありながら、中国に返還されたがための配慮が見られ、最後はインド映画の十八番とも言える楽しいダンスを全員で披露してくださいましたのは、ひとえにジャッキーチェンさんの、徹底したエンターテイメントムービーを作製したいという情熱の表れであったと思います。
一時、文芸大作的な要素を盛り込んだ映画もお作りになっていたジャッキーチェンさんでしたが、今回の『カンフーヨガ』に、そうした要素を期待したり、細部の齟齬を指摘したりするような見方は、一切止めてただ楽しむことに徹していただければよろしいのではないかと思います。
それにしても、あれだけのロケを敢行してどれほどの制作費用をかけたのだろうと思われた割には、お客さんが少ないのでは、と余計な心配をした次第でありますが、個人的には、その方がありがたかったと思っております。