拒絶の言葉の心理学

先日、ある方とお話しておりましたら、芸人さんの中には、

〈オレの芸をわかってくれる人だけ、来てくれればいい〉

てなことをおっしゃる方がいらっしゃる、てなが話が出てまいりました。

 

なんとなくかっこいいように聞こえますが、主催者や会場提供者が集客に腐心しているときに、追っかけファンを持たない芸人、つまりはたいした人気も技倆もない芸人が、自ら集客する努力することなくこれを口にしたとなればどうでしょう。

 

昨年、民進党からの入党希望者に、希望の党を率いる小池百合子東京都知事は、

〈全員を受け入れることは、さらさらない。政策的に一致しないといけない〉

と、いわゆる踏み絵を実施たがために、小池百合子フィーバーはあっというまに消え失せてしまいました。

 

〈オレの芸をわかってくれる人だけ、来てくれればいい〉

も、

〈全員を受け入れることは、さらさらない。政策的に一致しないといけない〉

 も、どちらも拒絶の言葉です。

 

ただし、多くのファンを魅了する名人上手と謳われる芸人の言葉なら、主催者や会場提供者を失望させることはありません。

でも、そうでなければこの言葉は、下手の芸人の言い訳でしかありません。

小池百合子さんの言葉は、言い訳ではなく単に方針を示しただけかと思います。

欧米なら、小池さんの拒絶の言葉がこれほど拒絶されることはなかったようにも思います。

 

〈オレのやり方が気に入らなければ、他所へ行ってくれて構わない〉

なんて類いのことをおっしゃる方は、強力な力を背景に相手をねじ伏せるために使用されているのではないかと思われますが、その心の奥底には、下手な芸人の言い訳に近い心理も潜んでいるのかもしれません。

 

世の中、良好な関係を構築するためのコミュニケーション術を伝授する書籍は多数出版されていますが、

《拒絶の言葉の心理学》

てな本を書いたら、案外売れるかもしれません。

 

好きな女性を射止めるために、最初はこまめにコンタクトを取ってから、しばらく連絡せず、相手から連絡があってもそれに出ない、つまり少し拒絶の態度を示すと、その女性のハートを掴むことができる、なんてことを教わって、アタクシも実践してみました……

 

え?

(オチはわかっている)