《新三題噺の会》〈質屋通い〉

昨日の《新三題噺の会》でいただきましたお題は、

〈誕生日〉〈めんつゆ〉〈グラビアアイドル〉

でした。

 

資金繰りの悪くなった老舗の蕎麦屋の主人が、幼なじみがやっている質屋を訪れて、娘の〈誕生日〉を祝うためにいくらか融通してほしいと頼みにきます。店に貼りっぱなしだった、ビールを片手に微笑む水着の〈グラビアアイドル〉のポスターを持ち込みますが、今までも急場凌ぎにいろんなものを持ち込んで流していますから、質屋の幼なじみは、経営再建のために知恵を絞れとアドバイスをいたします。

すると、蕎麦屋は、うちは三代続く老舗やから、そんなことはでけへん、と頑固なことを言います。

質・うそつけ。お前んとこ、昔は上等の鰹節を使った〈めんつゆ〉を使うてたのに、最

 近はキッコーマンに変わってるやないかい。お客はみんなわかってるで。そやさかい

 に、まず〈めんつゆ〉を鰹にもどして、ちょっとした、イベント、たとえば、店内を

 ぐるりと回る流し素麺てなことをやって人を集めるんや。伝統やなんやと頭のかたい

 こと言わんと、ちょっとやってみぃ。わしも行ったるさかいに。

蕎・いや、質屋のお前が来るのはあかん。

質・何でや。

蕎・流したらあかんやろ。

                                   デンデン