大関昇進を全会一致で決めた日本相撲協会から昇進を伝えられた栃ノ心関が、
《親方の教えを守り、力士の手本となるように稽古に精進します》
と口上を述べたという報道がありました。
メデイアに並べられた過去の口上は、貴乃花関の、
「不撓不屈」
若乃花関の、
「一意専心」
白鳳関の、
「全身全霊」
といった四字熟語から、
「大関に恥じぬよう」
「大関の名を汚さぬよう」
といった言葉、その他、
「日本の心をもって」
「お客様に喜んでもらえるよう」
など、それぞれの力士の思いが滲んでいます。
でも、今まで
《親方の教えを守り》
《力士の手本となる》
と口上で述べた関取はいなかったと思います。
ちょっと意地の悪い見方をいたしますと、これまで力士たちは、親方の教えを守ることを忘れ、力士の手本となることなど、考えもしなかった、ということになるのではないかと思います。
《師の教えを守る》
《後輩の手本となる》
相撲に限らず、どんな世界にも通じることかと思います。
世の中がなんだかおかしくなっているとしたら、それはこうした思想が失われてきたからではないかとも思いますが、さらに申し上げるなら、その根本となるべき、師たる者の資質と覚悟が蔑ろにされているため、とも思われます。
わかっております。
師の教えを守ってもいなければ、誰の手本になってもいないアタクシが言うのが間違っておりますことは……