筒井康隆先生の《諧謔》の技法〜西遊記編〜

筒井康隆先生の『創作の極意と掟』(講談社文庫)には、

 

諧謔

 

という項目もあります。

 

例として第一番に夏目漱石先生の『吾輩は猫である』を挙げられ、〝比喩による上品なユーモア〟があるのは、〝英文学の知識によるイギリス風ユーモア〟を

 

〈自家薬籠中のもの〉

 

としているからであると述べ、

 

弓館芳夫氏の『西遊記』によって、

 

〈沈魚落雁羞花閉月〉

 

という美人を形容する言葉を知ったと語られたところは、アタクシも教養を滲ませる言葉として拝借しようと思いますが、好意をよせる女性に、

「あなた〈沈魚落雁羞花閉月〉です」

なんて申し上げても〈自家薬籠中のもの〉になっておりませんから、やっぱり袖にされるのがオチかもしれません。

 

あるいは御自身の『魚籃観音記』で、悟空と観音様の情事を見ようとして仏陀までが下駄履きでのぞきにりたため、皆が、〝ブッダマゲタ〟という駄洒落や、同じくご自身の作品から引用された、

「あれが火事だということは、火を見るよりも明らかじゃ」

なんてのも、どこぞで使わせてもらいたいと思っておりますが、もし著作権料を払えと迫られたら困りますので、ブッダではなく、小津田という方がゲタを履いて、〝オッタマゲタ〟にし、火事を家事に変えると、大丈夫なのではないかと……

 

言葉や駄洒落だけでなく、最近、ブログのネタに困って筒井康隆先生の御本の中からあれこれ使わせてもらっております。

ほんとうに感謝の気持ちでいっぱいでございます。

 

でも、まだ使えそうです……