東京医科大学の〈必要悪〉?

先般、裏口入学収賄問題が明らかになった東京医科大学で、女性受験者の入試得点を一律に下げていたことが報じられました。

 

なぜそうしていたかと言うと、女性医師は結婚や出産で離職すると、系列病院の運営に支障が出るから、という説明とともに、東京医科大学の関係者は、

「いわば必要悪」

とおっしゃったそうです。

 

言葉は矛盾を孕んだ伝達手段ですが、それは同時に誰かにとって都合のよい言葉として使われます。

 

〈必要悪〉

 

の代表例として挙げられる酒には、

 

〈酒は命を削る鉋〉

 

なんて言葉がある一方で、

 

〈酒は百薬の長〉

 

てなことも言われます。

 

要は、誰に取って鉋なのか薬なのか、といったところかと思います。

 

〈必要悪〉

 

という言葉も同様に、誰に取って必要悪なのか、というところを考えなければならないと思いますが、少なくとも、誰からも責められる立場にない人がこの言葉を使うことはないのではないかと思います。

 

〈必要悪〉

 

を使う人は、少なくとも自分が悪であると認めてはいますが、認めている悪は自分たちの都合ではなく、あくまで世のため人のためになるものであるという言い逃れをしているに過ぎないように思います。

 

たとえば系列業院で、優秀な女医さんに診てもらうはずだったのに、裏口から入った未熟な男性医師の診察を受けることになった、なんてこともありうるのではないかと、つい想像してしまいます……

 

〈必要悪〉

 

を自ら口にする者は、本当は悪でしかないのではないか、とも思います。

 

でも、悪でもいいから必要とされたい、という本音も、この言葉には隠されているようにも思いますが、どないでっしゃろ……