日本の怪談は、因果応報、因縁怨念のオンパレードが中心になっているようです、なんてお話は、拙ブログにて以前にもしたかと思います。
ただ、日本の怪談の中でいうところの、〈お化け屋敷〉には、そんなどろどろとした怨念は渦巻いていません。
『稲生物怪録』を代表とする、狐狸妖怪が棲みついて、訪れる者を驚かせるという怪談です。
幽霊が登場する因縁話には、恐怖と死が口を開けておりますが、〈お化け屋敷〉には、死が伴うことはありません。
ところが、ヨーロッパの建物の怪異を読んでみますと、名前のつけられた妖怪なんぞが登場することはありません。
その建物に起こる怪異は、建物自体が正体がわからぬ意志を持って、人間を死に引きずり込むという話のようです。
昨今の日本の小説では、ヨーロッパ風の建物の怪異を題材にしたものも見受けられるようになりました。
逆の言い方をいたしますと、お化け屋敷はわずかに遊園地などで生き延びている、絶滅危惧怪談になってしまった、というところでしょうか……
新しい〈お化け屋敷怪談〉を生み出すと、面白いかもしれません。