『素人自作落語の会in伝楽亭2018』〈悪魔〉

昨日、『素人自作落語の会in伝楽亭2018』の高座に、拙作〈悪魔〉をかけました。

 

女にもてない男が、悪魔を呼び出すところからはじめて、

「あ、あんた、あくまはんか?」

「隣の嫁はん、呼ぶような言いかたはやめてくれるか」

「そら、おくまはんや」

……

「見てみ、すべったやないか……」

 

「用件を聞こうか」

「オナゴにモテたい」

「昔から、もてる男は、一みえ、二男、三金、四芸……」

「あんた、ホンマに悪魔か」

「疑うなら、他を当たってもらおう……」

 

「女をほめる。たとえば、キミの豊かな黒髪には、この髪飾りが似合う、その黒い瞳には、このペンダントが似合うよ……」

「髪飾りとかペンダントとか、金がないとあきまへん」

「心配はいらん。この、悪魔の財布を使え。中から、なんぼでも金が出てくる」

「これ、みな、ほんまもんすか?」

「偽札や」

「そんなことしたら、懲役にいかなあかんようになります」

「心配はいらん。懲役に行く前に、オレがオマエの魂を貰い受ける」

 

てなやり取りの末、悪魔に魂を売る契約をして女にもてるようになって数日後、悪魔が魂を受けとりにくると、肝心の魂がありません。

「どんな女にもてたんや?」

「お帰りなさい、ご主人、てなこと言うてくれる、カフェの女給さんたちです」

「そら、あかん」

「なんでです?」

「あいつら、みんな、小悪魔や」

                                   デンデン