もうどうでもいい

2015年に大阪寝屋川市の中学一年生の男女二人を殺害したとして大阪地方裁判所で行われた第一審で死刑判決を受けた被告が、控訴を取り下げて死刑が確定したことについて、取り下げた理由について毎日新聞の取材に被告は、

「もうどうでもいいと思った」

と答えたそうです。

 

志賀直哉先生の短編小説『灰色の月』で、終戦直後、山手線に乗っていて乗り過ごした少年工は、

「どうでも、かまわねえや」

とつぶやきました。

 

〈もうどうでもかまわない〉

という言葉ほど、それを口にした人の絶望を表すものはありません。

 

「生きるのが面倒くさくなった」

「生きていてもしかたない」

 

もし、そんな言葉を身近にいる誰かが口にしたら、私たちはどんな言葉を投げかけたらいいのでしょうか……

少なくとも、

「何をバカなことを言ってるんだ。人生前向きに生きていかなくちゃ……」

なんて言葉を安易に口に出してはいけないように思います。

 

仕事がまくいかなくて、アタクシが、

「もうどうでもいい」

と投げやりに言いますと、

「そうだね。世の中、どうでもいいよね」

と例の友人は言ってくれますけれど……