三題噺・看護師の亭主

昨日、『三題噺の会』を伝楽亭にて開催いたしました。

 

いただいたお題は、〈笑わない男〉〈戦力外通告〉〈天変地異〉でした。

 

今回のお題には皆呻吟いたしましたが、それだけにそれぞれいい噺を拵えていました。

 

アタクシが考えましたのは、『看護師の亭主』でございます。

 

看護師が家に帰ると、非正規雇用で働いていた亭主が、何度目かの〈戦力外通告〉を受けて先に帰っておりました。

看護師の女房が、愛想がないのがいけない、〈笑わない男〉ではあかん、と言いながら、亭主が痔で入院したことがきっかけで付き合い始めたことを話し始めます。

亭主は若手の漫才師で、看護師の女房をよく笑わせていたけれど、

「最近は台風や大雨や、そのうち〈天変地異〉が起こるんやないか」

「て〜んぺ〜ん〜ちい!」

てな受けないギャグばかりで売れなかったけれど、それでも、地方の仕事には、

「わらじを履く」

と言って出かけていた。

それが、相方が漫才を辞めてから、亭主は非正規の仕事を始めて笑わなくなった。

女房が、

「この際、いい機会だから、少しわらじでも履いてみたら、旅にでも出てみたらいいんやないの?」

と勧めると、亭主は、

「また、痔になって、わらじは履けない」

「痔になっても、わらじは履けるやろ」

「いや、あかん」

「なんで?」

「おれ、わら(笑)はない男や」

                                   デンデン