山口百恵さんの〈秋桜〉から……

先日、職場で、〈秋桜〉が話題になりました。

「コスモスを〈秋桜〉と書くようになったのはいつからか?」

文明開化で欧米諸国から新しい文物、思想などが入ってきた際、それぞれの国のいろんな言葉が日本語に訳されました。

ベースボールを野球としたのは正岡子規先生だ、なんて説がその代表例になるかと思いますが、その他、ノベルを小説に、サイエンスを科学に、と漢字を用いて訳したそうですから、きっと〈秋桜〉も明治時代に誰かが訳したんだろうと思っておりました。

ただ、アタクシが始めて〈秋桜〉を覚えましたのが、さだまさし先生の作詞作曲で山口百恵さんがお歌いになった秋桜からで、まさかそこから〈秋桜〉が一般的な言葉として定着したとは、思ってもいませんでした。

ところが、ネットで職場の方が検索しましたら、なんと、山口百恵さんがお歌いになってこれが世の中に広がって、辞書にも掲載されるようになったとのこと。

 

中村草田男先生の、

〈万緑の吾子の〜〉

の一句の初句にございます、〈万緑〉も、中村草田男先生が考え出された言葉だということも思い出しながら、誰かが作り出した言葉がこうして世の中の言葉になっていくことに、感慨を覚えたと同時に、

「これまでになかった言葉を生み出すことができる人って、やっぱすごいんやなぁ……」

と、アタクシは凡庸な言葉で思ってしまった次第でございます……