幽美で妖美で醜美なフフフ……

夏になると、美術館で幽霊や妖怪の展覧会が催されます。

 

京都伊勢丹の7階にある美術館「えき」KYOTOでも、《奇々怪々お化け浮世絵展》が開催されています。

お馴染みの幽霊、妖怪などが展示されていましたが、それらを見ながら、ふと、

「これらを美術品にしていいのだろうか……」

と思ってしまいました。

風景画であるとか肖像画であるとか、美しい景色や女性がそこに描かれているのではなく、恨みに満ちた表情の、おどろどどろしい幽霊や醜い妖怪などが描かれているのですから。

 

それでも、目を背けるような醜怪なものではなく、思わず魅入ってしまうところが不思議です。

苦悶に満ちた女性の幽霊などはもちろん、男の幽霊の青い表情も印象的です。

特に、絵の背景に蠢く数多の妖怪などには、よくもまあこれだけ多様な妖怪を想像できるものだと感心しながら、ひと一つ、じっくりと見てしまいます。

 

見ているうちに、永井豪さんの『デビルマン』を連想してしまいました。

やはり、背後に描かれている多種多様なデーモンの一つ一つに魅入ってしまいます。

もし、前世ということがあるなら、永井豪さんは、きっと幽霊や要絵画も手がけられる浮世絵師だったに違いありません。

 

人の心を摑んで放さない醜さは、一般にイメージされる美術品を超越した美の極致と言えるのではないかと思います。

 

毎度、この手の展覧会に行くとそうなんですが、今回も、幽霊や妖怪に取り憑かれてしまったようで、トイレに入って鏡に映った自分の顔を見ると……フフフフフ……