三題噺・反省会

お題をいただきました。

〈あくび〉〈ラグビー〉〈蜂〉

 

喜六、清八、飲む仕草。

喜「はははー。今日はよう負けたな」

清「負けたてなもんやないで、お前」

喜「ちょっとミスしたんかな」

清「ちょっとどころやないで、喜やん。うちがなんて言われてるか知ってるか」

喜「なんて言われてるや」

清「ミスラグビーや」

喜「そないにわいら、べっぴんか?」

清「あほ。そんなきれいなもんやない。ミスばっかりのラグビーや言うことや。タックルはかわされるは、相手にパスしてしまうわ、ボールを持って走っては、いったどれぐらい蹴つまずいたんや」

喜「はははー……おもろかったな」

清「一番、蹴つまずいてたお前が笑うな」

喜「面目ない。けど、まあ、負けたというても、今日は蜂に刺されたようなもんやな」

清「あほ、それも言うなら、蚊に刺されたようなもんや」

喜「そうやな、蚊に刺されるより蜂に刺されるほうが痛い」

清「お前は底なしのあほやな。105対0や。蜂や蚊に刺された程度の負けやないやろ」

喜「けど、お客は喜んでたやろ」

清「みな、あくびしてたで」

喜「わしら下手な噺家みたいやな。はははー」

清「笑い事やないで、ほんまに」

監「おお、今日はお疲れさんやったな」(座る)

清「ああ、監督。どうも」(酒をつぐ)

監「お前ら、負けたとはいえ、実力はほぼ互角やったぞ」

喜「105対0」

監「んん…… まあ、確かにミスはいくつかあったけどな」

喜「よ! ミスラグビー

監「んん…… まあ、そないにがっかりすることはない。ちょっと蜂に刺されたぐらいや」

喜「それも言うなら、蚊に刺されたようなもんや。蜂に刺された方が痛い」

監「んん…… まあ、それでも、観客は喜んでくれたやろ」

喜「みな、あくびしてました。わしら下手な噺家と同じや。はははー、木戸銭返せ」

監「こら、下手な噺家と一緒にするな。君らがやってるのは、ラグビーやぞ」

喜「客がしてたのは、あくびーや」

                                (デンデン)