コマーシャルで、イヌのお父さんはすっかりお馴染みになりました。
いえ、調子に乗っていると言えるかもしれません。
なにしろ、近頃は、西部劇のガンマンとなったイヌのお父さんが、撃たれて死んだふりまでしているほどです。
その線を狙っているのか、アルバイトに励むパンダのお父さんも、コマーシャルに登場してきました。
ドーナツ店でアルバイトを始めたパンダが、ドーナツを見て仕事もせずに思わずタイヤで遊んでしまっているというところへ、お父さんパンダが入って来ます。
物語はそこで終わっていますが、次のシリーズで、パンダのお父さんはどうするのでしょうか?
まさか、一緒になってタイヤで遊ぶなんて、アタシですら予想できる展開なら、イヌのお父さんほど続くことはないと思います。
連続物語コマーシャルでいえば、企業内の浮沈、覇権争いシリーズも、意外な展開を見せています。
一度は降格されたビジネスマンが、外資の吸収合併を機にのしあがると同時に、その余波を受けて降格された主人公が、失脚した専務に、
「実は私はきみの父親なんだ……」
奇しくも、連続物語コマーシャルには、いずれもお父さんが登場しています。
「ねえ、お父さん」
「なんだ」
「最近、コマーシャルにお父さんがよく出てくるけれど、もし、コマーシャルが世相を映す鏡だとしたら、その意味するところは何なの?」
「何なのって言われてもなぁ……」
「ねえ、教えて、お父さん」
「うーん…… 死んだふり……」