『日本のいちばん長い日』

映画を観にいくなら、平日の朝一番がよろしゅうございます。

さらに、上映期間が間もなく終わるという映画ですと、観客も少なく、あたかも貸し切りであるかのように、ゆったりと鑑賞することができます。

 

そういうことで今日は、半藤一利さんの『日本のいちばん長い日』(原田眞人監督・松竹)を観にいきました。

それでも私を入れて9人の観客がいましたが、貸し切り気分に変わりはありませんでした。

 

内容について、ここで改めて述べるのは野暮というものですが、自刃した阿南陸軍大臣の亡骸を前に、戦死した息子の戦地での様子を伝える奥さんの姿に、思わず、涙してしまいました。

 

上映が終わって観客が席を立ち、通路を進みますときに、杖をついたご高齢の方が、後ろを行く私に、本当に済まなさそうに、

「済みませんね」

とおっしゃいましたから、

「こんなに空いているときですから、ゆっくり参りましょう」

と返事をしましたところ、

「オヤジが、サイパンで戦死しましてね……」

 

映画を鑑賞するなら、その映画の上映期間が終了を告げる頃の、平日の朝一番がよろしゅうございます。