水木しげるさんがお亡くなりになって、何本か追悼番組が放送されるようです。
確かに、水木しげるさんは、現代の妖怪ブームの立役者の一人に違いありませんが、どういうわけか、日本を代表する三大妖怪、鬼、天狗、河童が蔑ろにされているように、アタシは以前から感じていました。
これでも『昔話と妖怪』を大学の卒業論文で書いておりますので、その三大妖怪のほかにも多種多様な妖怪が日本に存在することは承知しておりますし、逆にあまり知られていない妖怪をいろいろ登場させることは、いいことだと思っています。
また、読者や視聴者には古来より定番としてお馴染みの鬼や天狗よりも、埋もれていた妖怪にスポットライトを当てる方が面白いかもしれませんし、また、圧倒的な力を備えている鬼や天狗では、漫画、アニメーションにはなりにくいのかもしれません。
さらに、そんな強力な力を持たない子泣き爺や砂かけ婆、ぬり壁、一反木綿等が協力する方が、子供向けの物語にはふさわしいとも言えます。
もちろん、多様な妖怪を日本全国に広めた功績は非常に大きくはありますが、せっかくですから、水木しげるさんには、三大妖怪の可能性にももっと焦点を当ててもらえたら…… とは思っていました。
「ときどき、トトロに似ているって言われるんですけど……」
と、先日、職場の新人がこぼしていましたので、
「だったら、トトロとぬらりひょんと、どっちに似てるって言われたい?」
と尋ねると、彼はしばらく考えて、
「トトロ……」
「オレは断然、ぬらりひょん!」
「……すいません。ボク、まだ先輩の域に達していません」
ぬらりひょんを悪役にしたままお亡くなりになるなんてことも、アタシはひどいと思っています。
水木しげるさんのご冥福をお祈りします。