浜田廣介さんの『泣いた赤鬼』では、人間と仲良くしたい赤鬼のために、友達の青鬼がわざと人間に危害を加える芝居をします。
その青鬼をやっつけた赤鬼は、めでたく人間と仲良くなれます。
でも、その赤鬼と親しい間柄であることが人間に知れないように、青鬼は遠くへ去ってしまいます。
赤鬼が手にした幸福は、青鬼を去らせることによって得られた幸福でした。
今日は節分です。
豆をまいて鬼を追い払い、明日の立春、春を迎える支度をする一日です。
《節分や 追われる鬼が 春を呼ぶ》
「ねえ、ママ」
「なに?」
「豆まきで追い出された鬼は、どこに行くの?」
「さあ、どこに行くんでしょうね」
「外はまだ寒いから、風邪なんかひかないかな」
「大丈夫。心配いらないわ」
「どうして?」
「だって、来年も豆まきをするんだから、それまでには元気で帰ってくるわよ…… あら、鬼が帰って来たみたいよ。 ……お帰りなさい、パパ」