雑談力養成落語・キホンのキ

雑談には、大きく分けて二つの要素があります。

 

一つは、雑談のネタです。

でも、雑学のネタをたくさん仕入れていれば、雑談力が向上する、と勘違いしている人は少なくないのではないかと思います。

と言って、博識であることを否定するわけではありませんが、これが却ってコミュニケーションの妨げになる場合もあります。

つまり、自分の引き出しの中にある蘊蓄のある含蓄を…… いえ、含蓄のある蘊蓄を事細かく披露してしまうと、逆に相手にストレスを与えてしまうことにもなる、ということです。

うっかりすると、

「自慢するわけではありませんが、私、こ〜んなことも知っているんですよヨ〜ン」

てなことになってしまいかねません。

それならむしろ、浅学非才を表看板にして、

『教えを請う』

という返しワザを使って相手に含蓄のあるの蘊蓄を語らせるほうが、雑談力の高さを示すことになるでしょう。

 

雑談は、こちらが一方的に語らなければならないものではありません。

その点を考えれば、もう一つの要素が見えてきます。

つまり、二つ目の要素は、返しワザのパターンをどれだけ体得しているか、ということです。

 

もし、自分には雑談力が不足していると感じていらっしゃるなら、雑学を増やそうとするよりも、落語や漫才の返し、ツッコミを研究、実践するのが、案外近道かと思います。

 

『教えを請う』パターンの他に、もう一つ。

『ほめられたら喜ぶ』

という返しワザもかなり有効です。

 

「あんさん、普通のお方やおまへんな〜」

「いやあ、なんや、うれしいな、そないにほめてもらうと……」

「ほめてない、ほめてない」

てな感じで、わざとほめられたフリをするのも、雑談力養成落語から学べる返しワザの一つです。

(え? ほんまに、わざとか……?)

って、アアタ、そうに決まってまっしゃろ!