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ギネスブックに載るかもしれない友人の話

しばらく会っていなかった友人が、先日、伝楽亭で開催されました《三題噺の会》に来てくれました。

その友人、今年、2月に心肺停止状態に陥って病院に搬送されたそうですが、なんと、1時間後に蘇生して医者を驚かせたということでした。

心肺停止状態から4分ぐらいが生死を分けるそうですが、彼はどういうわけか1時間後に、しかも、どこかに後遺症が残るるわけでもなく、仕事に支障をきたしているわけでもなく、生き返ったようでした。

 

「ひょっとしたら、向こう岸に死んだおばあさんがいて、まだ、こっち来たらあかん、てな夢でも見ましたか?」

「いや、おばんはおりまへんでしたが、なんやトンネルの中に入っていたようでした」

 

一応、仏道にも深い造詣のある友人ですが、ほとんど破戒僧に近い無常観の持ち主で、よくもまあ、それで助かったことかと思いながら、

「いやあ、それにしても奇跡的な生還でしたんやな。」

と述べますと、

「医者が、ギネスブックに申請する、という話をしていました」

と笑って言われましたので、

「へえ、そしてら、アタシはギネスブックに載ってる人の友達になりますんやな……」

てな呑気な言葉を返しましたが、昨日まで元気だった友人を亡くして出家した西行法師のごとく、人間、いつどこでどうなるかわからないなら、世俗のなんやかやに囚われることなく、今を愉しく生きることが肝心かと改めて思い、別れ際にそんな感慨を彼に述べましたところ、

「あんさん、ずっと前からそんな生き方をしてるやおまへんか」

 

そんなやりとりを交えて、

「アタシも、西行法師と同じ生き方をしているということや」

と、例の友人に話しましたところ、

西行法師は世俗のなんやかやに囚われても生きていけてたけど、キミの場合、それがでけへんやろ……」