山下達郎さんの「あなたの歌を聞きに来たのではない」

御自分のライブに訪れるファンから、

「ライブで一緒に大きな声で歌うと、隣の妻に、あなたの歌しか聞こえないと言われましたが、一緒に歌うのはどうでしょうか」

という主旨の質問を受けて、山下達郎さんは、

「あなたの歌を聞きに来たのではない」

と、ライブでファンが一緒に歌うことに否定的な見解を示されたそうです。

 

先日、サワコの朝にゲスト出演されたさだまさしさんは、自分のコンサートに来られたお客様の中に、これから歌が始まるというときに、トイレに行く方がいらっしゃって、どうして歌も聞かずにトイレに行くのか尋ねたところ、歌は家に帰って聞くから、と言われたそうです。(ほんまかどうかわかりませんが……)

 

落語では、どんなにその噺家のファンでも、落語会で一緒にネタを口にする輩の話は、耳にしたことはありません。

 

とはいえ、歌手やバンドによっては、会場に集まったみんなが一緒に歌うことを暗黙の前提にしている場合もありますから、そういうお客様ばかりではない山下達郎さんや、あるいは演歌歌手のケース、ということになるのかもしれません。

 

ただ、

《あなたの歌を聞きに来たのではない》

という言葉は、日常でもよく使われているように思います。

 

「君の意見を聞きに来たのではない」

「君の話を聞きに来たのではない」

「君の言い訳を聞きに来たのではない」

 

ほとんど、人間関係を壊すことになるのではないかと思います。

 

山下達郎さんだから、口にできる言葉です。

 

え?

(どうしてオマエにそんなことが言えるのか?)

 

アタクシ、カラオケで人の歌に合わせて歌って、

「あなたの歌を聞きにきたのではない」

 と、さんざん言われてまいりましたから……