本物の怪談が、もし人間の理解しえないものであるとしたら、日本の怪談のほとんどは怪談ではないかもしれません。
日本の怪談の代表と申しますと、『四谷怪談』や『皿屋敷』かと思いますが、これらは因縁による怪異であって、そこで恨みをもった何者かが化けて出てくる理屈が存在しており、見るもの聞くものはそれを理解した上で、恐怖をあおるようなどろどろとした趣向に驚いているのではないかと思います。
正体がわからない現象には、その現象を引き起こしている妖怪を形象することによって、理解しようとしているように思います。
そう考えると、日本の怪談には、理解を超えた真の怪談などないように思われますが、唯一、岡本綺堂先生の手による怪談だけが、人間の理解を超えた恐怖を編み出しているように思います。
岡本綺堂先生と言えば、『半七捕物帳』が代表作ではありますが、アタクシは短い怪談の数々に魅了されておりまして、明後日、奈良の落語喫茶・古々粋亭の高座にかけます怪談も、岡本綺堂先生の『猿の眼』をモチーフにこしらえました。
と申しましても、アタクシの下手な落語でございますから、せいぜい岡本綺堂先生のお名前に泥をぬらないようにしたいと思ってはいます。
え?
(そう思うんやったら、岡本綺堂先生の名前を出すな!)
26日(日)午後2時開演でございます。
よろしければ、お越し下さい。
ちなみに、明日は伝楽亭で、らくださんがプロデュースされる〝ロック外談〟(午後7時開演)で、これも自作の『悪魔に魂を売った男 ロバート・ジョンソン』を演じますので、こちらにも足をお運びくださると、うれしゅうございます。