辛口の世評で一世を風靡した、評論家の竹村健一氏がお亡くなりになりました。
パイプをくわえた独特の風貌で、
「だいたいやねぇ……」
と話し始めるというスタイルはたくさんの人に真似をされるばかりか、
〈だいたいやねぇ〉
という言葉は大流行しました。
当時、流行語大賞があったら、間違いなく大賞を受賞されたことと思います。
もちろん、それも印象深くはありますが、
「待ち合わせをするときには必ず本を持っていく。女性にすっぽかされても、そのあいだ、本を読んでいると、その時間は無駄にはならない……」
という主旨のお話をされていたことがアタクシの心に残っておりまして、その話を耳にしてからアタクシも女性と待ち合わせるときには本を持って行くようにしました。
でも、読みながら、まだ来ないのかな、と気になって、なかなか読書に集中できないばかりか、結局待ちぼうけをくらって一人淋しい気持ちをどこに持っていくこともできぬままに、無駄な時間を過ごすことになってしまったのは、竹村健一さんのせいではありません……
竹村健一さんの御冥福を心よりお祈りします。