NHKNEWSWEBに、
《猫は自分の名前を聞き分けている》
という研究結果が掲載されています。
名前を呼ばれて反応するのは、それが自分の名前だと認識しているのではなく、音声としてそれが餌をもらえるとかなでてもらえるとか、『パブロフの犬』と変わらない反応のようです。
斉藤洋さんの『ルドルフとイッパイアッテナ』(講談社)に登場するネコ〈イッパイアッテナ〉は、飼い猫だったころの名前ではなく、近所の人が勝手にいろいろ名前をつけられて、知り合ったルドルフに、自分の名前がいっぱいある、と言いました。
〈イッパイアッテナ〉ほどではないにしろ、野良を稼業として人に異なる名前で呼ばれる猫は、それぞれの名前を聞き分けているのでしょうか?
もらわれていった先で違う名前を付けられたら、猫はその名前を受け入れているのでしょうか?
昔から、年古る猫は人語を解し、襖障子を立って開け、尾が二つに分かれて猫又、化け猫などと称されるぐらいですから、自分の名前を聞き分けられるなんて研究結果が報じられても、
「今頃何を言うてけつかる!」
てなことを……
いえ、すでに猫のそうした能力を知っていた昔の人から見れば、ちゃんちゃらおかしいことかもしれません……
「科学的研究よりも古典的文献から猫を考えたいアタクシといたしましては……」
てなことを言いかけましたところ、
「キミの場合、科学的にものごとを見られない自分に対する言い訳だよね」
と例の友人に言われましたので、
「いや、ものごとの見方は、イッパイアッテナ……」
ぼか! どす! ごん!