『能ある鷹は爪を隠す』
いちいち喧伝しなくても、見る人が見れば、その優れた能力は周囲の認めるところとなります。
ですから、仕事のできる人物ほど、自らそれを口にすることはありません。
ということは反対に、
『爪を隠さない鷹は無能である』
ということも言えるのではないかと思います。
「オレは能ある鷹だから、普段、爪は隠しているんだ……ふふふふふ……」
てなことを、不敵な笑みを浮かべながら自分で口にする輩は、それだけの能力、爪を使いこなす力が自分に十分に備わっていないということを、自ら暴露しているということになります。
爪に相当する自転車を、初めて買ってもらった子供が、乗る練習もせずにそれにまたがって、
「かっこいいだろう……」
と自慢しているようなものです。
あるいは、最初から爪など持たない者が、あたかも爪を有しているかのように見せるために、それを口にする場合もあるかもしれません。
『能なき鷹ほど爪を隠すふりをする』
私も、ここぞというときに、
「オレは能ある鷹だから、普段、爪は隠しているんだ……ふふふふふ……」
と、自ら不敵……不適切に笑うことがあります。
そうすると、周囲は鼻で笑ってくれます。
実は、皆さんに笑ってもらう能力を隠しているということを、自ら口にすることで逆に隠している訳なんですが、私の隠した爪に誰も気づいてくれません……
(え? それ、爪じゃないって……?)