雑談力養成落語・居酒屋の亭主の教え

大阪は池田に『和食巧房・ちりとてちん』を構えるアマチュア落語家・天満家豊蝶は、アタクシの後輩で、兵庫県尼崎市が主催するアマチュア落語選手権のチャンピオンでもあります。

彼によりますと、居酒屋の亭主には二つのタイプがあるそうです。

 

一つは、厨房に立って自らお客と会話を楽しむ亭主で、もう一つは料理人に徹してお客の相手は女房なんかに任せる主人だそうです。

当然、豊蝶は前者の亭主であることを自認しております。

奥さんは、これもアタクシの後輩で、五月家ちろりという、知る人ぞ知る『第1回社会人落語選手権』の優勝者ですから、『和食巧房・ちりとてちん』は夫婦揃ってお客と楽しい会話が交わせるお店でもあります。

 

ずいぶん昔には、気難しい顔をした主人が、

「おれの料理に文句があるなら来なくていい」

てな雰囲気を漂わせながら、おいしい料理を食べさせてくれるお店なんかにも人気があったようですが、料理もうまいし話もうまいところの方が、やっぱり楽しいのではないかと思います。

 

これは、居酒屋に限ったことではありません。

お客と対面しながら商う仕事に携わっている人なら、誰もが望んでいることかと思いますし、だからこそ、『雑談力』なる言葉が、昨今、世の中に喧伝されるようになったのではないかと思います。

 

恥ずかしながら、密かに三題噺家を自称するアタクシも話術には多少の心覚えがありますが、

「そうは言うても、先輩の場合、本業の腕前が劣ってますさかいなあ……」

なんてことを後輩に言われております。