第35回ちりとてちんの会〜『ぞおん』〜

昨日の《第35回ちりとてちんの会》は、たいへん面白うございました。

お目当ての『百年目』をはじめ、三ん生師のお馴染み『たがや』、春乃嬢の『祝いのし』美里譲の『風呂敷』、ちろり嬢の『稲荷俥』もさることながら、東家静香嬢の『ぞおん(作・立川吉笑師)』には笑いました。

 

ぞおん(ゾーン)と申しますのは、たとえば、先場所、怪我をしながらも稀勢の里関が、優勝決定戦を制したように、集中力が高まって、自分の実力以上の力が出る状態だそうです。

あるいは、打席に立ってボールが止まって見える野球選手の状態だそうです。

ただ、この状態は、一般の人には理解不能のようです。

 

ですから、まあ、ネタ自体に、そうしたパワーが秘められているのかもしれません。

 

静香嬢のあとを受けてトリを務めた豊蝶師も、マクラで『ぞおん』を持ち出して笑いを取っていたほどですが、そのせいかどうか、『京の茶漬け』の最初の重要な場面説明を忘れてしまっておいでのようでした……

 

終演後。

七人の演者と朝から会場設営受付などに携わったスタッフの他に、お客として参加したアタクシも中に入れてもらっての、打ち上げでも、『ぞおん』をネタに楽しい時間を過ごせました。

 

しかし、毎度のこととはいえ、十数人が寄って酒を飲みながら、次々とボケとツッコミが飛び交う光景は、そこらのお笑い番組より圧倒的に笑わせてくれます。

 

健康のためにも笑いは大事だなんてことが世間では言われておりますが、世の中には、何日も笑ったことがないという方のお話を耳にすることがあります。

 

そういう方ほど、ちりとてちんの会の打ち上げに参加するべきではないかと思います。

ただし、それによって落語の〝ぞおん〟に入ってしまうと、世間一般の人に理解されなくなるかもしれませんが……