『富貴天に在り』
とは、論語に載っております言葉で、
〈人が富貴になるのは天命だ〉
という意味です。
つまり、貧乏なのは仕方ない、ということです。
『貧賎に戚戚たらず、富貴に欣欣たらず』
も、中国の古い言葉で、
〈貧賎に憂い悲しまず、富貴によろこばず〉
つまり、
〈貧賎や富貴など問題外である〉
という意味で、
『富貴天に在り』
と、同意です。
これをもっと進めると、
『貧にして道を楽しむ』
〈貧乏でありながら、その貧乏のことを忘れて道を楽しむ〉
という境地になります。
こうした中国の古い言葉は、実は落語にも通じております。
いえ、落語のほうがもっと高尚でさえあるかもしれません。
たとえば、
【貧乏花見】
では、
『心まで貧乏すなよ』
と、長屋一党で花見に行って楽しんでいます。
【尻餅】
では、嫁はんの尻を叩いて餅つきを装っています。
『金がなければ知恵を出せ』
落語は、笑わせるだけの庶民に迎合するような安易な芸ではありません。
人間の真理を象徴して尚、人々に生きる勇気を沸き起こさせてくれる至高の芸能です。
ということで、アタクシのブログで落語のネタが多いのは、実はそういう事情があるからでして……