七月大歌舞伎『盟三五大切』

歌舞伎が話題になりますと、たいがいは誰が出るのか、という人気役者に注目がありますが、

「素人でありますアタクシは、もっぱらどんな演目、どういう筋立てのお話かというところが気になりますが、宝塚ファンも、言ってしまえば演目よりも俳優に注目が集まっていますね」

てなことを申し上げながら、昨夜、人生二度目の歌舞伎鑑賞に参りました。

 

七月大歌舞伎、演目は、四世鶴屋南北先生作『盟(かみかけて)三五大切』でございます。

 

チラシには、『忠臣蔵』と『四谷怪談』を背景に描いた…… とありましたが、講談なら、赤穂義士銘々伝に分類されるかと思われる内容で、同じ百両という金があっちからこっちへ移動するというところは、落語の『持参金』を連想してしまいました……

 

歌舞伎をはじめ、伝統的な日本のお芝居や物語には、お互いの素性を知らぬまま巻き起こる悲劇がちょいちょい見られるかと思います。

この『盟(かみかけて)三五大切』も、その例に漏れず、また、そうしたことから発生する恨みつらみが募った殺しの場面の、まあ、凄惨なことといったらありませんが、その外連味たっぷりの殺しの場面に、拍手が起こるのは、このご時世、いかがなものかと思いながら、長年人気を博した『必殺仕事人』に代表されるように、日本人は案外そこに特別な美意識を持っているのかもしれません。

いえ、恨みつらみがあっても実際に行動に移すこたができない殺しの場面だからこそ、日本人はそこに美しさを求めたのかもしれません。

 

拍手は、殺しの場面にではなく、それを美しく演じた人気役者に送られたものであります。

 

そういえば、一昨日の《三題噺&大喜利の会》では、どうしてアタクシに拍手が……

 

(あるわけないやろ!)