《テーマをつかむのに、私には63年という時間が必要だった。小説の神様は待っていてくれた》
今回の芥川賞を63歳で受賞された、若竹千佐子さんの受賞の言葉です。
8年前にご主人を亡くされてから小説講座で小説の書き方を学ばれて、受賞作はデビュー作だったそうです。
もし、この受賞の言葉がなければ、
「ああ、素人が8年の勉強で芥川賞を受賞できるなんてすごいな……」
とか、
「何かを始めるのに遅いということはないということか……」
とか、そんな感想でおしまいになりそうです。
でも、この言葉から、テーマをつかむのに63年の時間、つまり若竹さんには、人生丸ごと必要だったということがわかります。
その人に起こる出来事は、表面的な事象ではなく、その人の人生が深く関わっているということでもあるかと思います。
小説は元より、シナリオでも漫画でも、テーマは重要です。
創作の題材はあちこちに転がっていそうですが、独自のテーマを見つけるためには、やはり自分の人生と真摯に向き合うしかないということかと、改めて思いました。
ただ、よくわかっているつもりでも、小説の神様はアタクシを待ってくださってはいないような気が……
いえ、アタクシが神様を疑ってはいけません。
まだ、じっと待ってくださっているところかも……
そんな話を例によって例の友人にいたしましたところ、
「キミの場合、自分の人生に向き合っていないときがちょいちょいあるから、神様が待ってくださっているとは…… ねぇ……」