ラ・ラ・ランド〜現実から遊離した精神状態〜

昨日、ステキな女性、三人に誘われて、《ラ・ラ・ランド》(デミアン・チャドル監督 サミット・エンターテイメント)を観ました。

観賞後、

「女優として成功した彼女にチャンスをつないで応援した彼は、偏屈者として夢の欠片を握ったまま生きている…… 男としては、切ないような映画ですね」

と感想を述べましたら、三人の女性には、その見方が新鮮だったようでした。

 

また、映画の種類として、ミュージカル・ロマンティック・コメディ・ドラマ映画ということで、寡聞ながら初めて目にした種類の映画でしたが、

「こんな手法もありか……」

という感想も持ちました。

よくあるラブストーリー、サクセスストーリーを現実の軸にしながら、空想の世界と交差し、軽快な歌とダンスが入るという形は、楽しさを追求するアメリカ映画の発想でもあると思いました。

さらに、〈現実から遊離した精神状態〉という意味があるという《ラ・ラ・ランド》というタイトルが、エンターテイメントの本質を象徴しているというところに、改めて気づかされた映画でもありました。

 

これを例の友人に話しましたところ、

「キミの場合、精神状態はいつも現実から遊離したレレレのレやさかいなぁ……」

嘘をつかない話法

「記憶にありません」

という台詞は、かのロッキード事件で有名になり、記憶に新しいところで言えば、あの号泣県議も用いておりました。

元々はアメリカ生まれの話術の一つのようですが、

「知りません」

「存じません」

いわゆる、

〈知らぬ存ぜぬを通す〉

〈白を切る〉

なんて言われる、日本の表現と類似するものかと思われますが、本当にそんな記憶はない、知らない、という場合もあるかと思います。

 

自分に都合の悪い見解やコメントを求められて、

「担当者がいない」

「推移を見守っている」

「事実関係を確認中である」

なんて台詞もよく耳にいたしますが、

「記憶にない」

「知らぬ存ぜぬ」

すべて、真実を語らないための話法であるということは、周知のことと思います。

 

その他、

「改めて記者会見を開く」

というのも、最近話題になった、元知事のI氏や学校法人認可申請を取り下げたK氏の、いわゆる時間稼ぎ的手法や、あらにK氏の話法で言うなら、質問には答えず自説ばかりを主張するといった技法、あるいは、

「そういうあんたは、どうなんや!」

と、相手を責めることによって話をそらすなど、公になっては都合の悪い真実を語らないための話法、裏返すと、真実は語らないけれど嘘をつかないためのための話法はいくつもあります。

ただし、これらを使用した結果、信用を失った人は、枚挙にいとまがありません。

 

そうそう、その手の台詞がもう一つありました。

「二人で過ごした時間を思い出してくれ」

「私、過去は忘れる主義なの」

 

これを、

「調査の結果、こういう事実が判明しているが、きっちりと説明してもらいたい」

「私、過去は忘れる主義なの」

なんて具合に、問題の渦中の人が、公の場で語ると面白いだろうな、と密かに思っております……

〈ウィンウィン〉と〈三方一両損〉

「お互いに利益を得る」

という意味で、政治の世界やビジネス社会では、

〈ウィンウィン〉

という言葉がよく使われています。

外交の言葉として用いられている、

〈発展的互恵関係〉

なんて言葉も、同趣の言葉かと思います。

国際社会では、相手も笑顔で握手しながら、〈ウィンウィン〉の関係やら英語でどのように訳すのかよくわからない〈発展的互恵関係〉を口にする外国の政府や企業は、自分たちの利益を優先することをいちばんに考えて、最終的に相手(日本)が損失を被っても文句が出なければ、知らぬふりをしているのではないかと思います。

 

江戸落語に『三方一両損』というネタがあります。

財布を拾った左官職人が、中にあった三両の金を持ち主の大工に届けたところ、自分から離れていった金を受け取ることはできない、と返したが、これが裁判沙汰になり、奉行が、自分から一両出して、それぞれが一両ずつ損をする形で訴訟を収めたという噺です。

落語以外でも、大岡裁きとして知られているお話しですが、おそらく、この話を好むのは、日本人だけではないかと思います。

 

三方一両損〉の好きな日本人にとって、〈ウィンウィン〉を実践するのは、根本的に無理があるように思います。

むしろ、積極的に〈三方一両損〉を国際社会に示す方が、日本にとってはプラスになるのではないかと思います。

 

そんなことを思いながら、でも、何となくアタシだけ損しているようにいつも思ってしまのは、どうしてでしょうか……

金星を上げた蒼国来関に思う

昨日の大相撲春場所三日目。

蒼国来関が、横綱日馬富士関を破りました。

 

蒼国来関は、唯一の中国人力士で、これだけでもこの人はすごい力士だと、ずっと思っていました。

かつて、高見山関が大相撲に外国人力士の道を切り開いてから、アメリカやモンゴル、さらにはヨーロッパからも来日して力士となり、彼らが大関横綱の地位を占めるようになりましたが、蒼国来関は、大相撲では日本人力士とそれほど変わらぬ体格で、しかも微妙な関係にある中国から、ただ一人、やってきて幕内力士を務めるばかりか、八百長問題で名前が上がって一度は角界から身を退かざるをえなかったところを、裁判を起こして勝訴し、再び勝ち上がって結びの一番で金星をあげたわけですから、これはもう引退後に偉人伝を出版してもいいぐらいに思います。

 

週刊少年ジャンプ集英社)に連載されてアニメ化された、吉沢やすみさんの漫画『ど根性ガエル』以来、コンクリートアスファルトの間から生えている野菜植物を、ど根性なんちゃらと賞賛する以外に、ど根性なんて言葉を耳にしなくなりましたが、蒼国来関にこそ、ど根性の尊称がふさわしいのではないかと思います。

 

ただ、相撲界では、横綱に昇進した稀勢の里関の親方、元横綱隆乃里関は、おしん横綱と呼ばれおりましたから、おしんの名を冠するほうがいいのかもしれません。

 

ええと、多くの方は、ここでこの話を聞いた例の友人が登場して、キミの場合、もっとも欠けていることだ…… てなオチを予想されているかと思いますが、それを裏切るようなオチを考える根性が、アタクシにはございません……

ということで、今日のところは堪忍してください。

《松山俳句ポスト》〈よしあきくん一期一会の一句〉第4位!

こっそり、《松山俳句ポスト》に投稿しておりまして、人や並に選ばれていることはありましたが、このたび、〈よしあきくん一期一会の一句〉第4位に選出されました。

 

優秀な句は、天に一句、地に十句ほど選ばれて、選者の夏井先生のコメントがいっぱい記されますが、それ以外で、ちょいと面白そうな句がいくつか、よしあきくんなる、地元の武将、加藤嘉明公にちなんだ、松山俳句ポストのキャラクターに選出されます。

 

今回、最初からそれを狙っていたわけではありませんが、投稿いたしましてから、もしかするとそちらで選ばれるかも、と思っておりました。

 

出されておりましたお題は〈蕨狩〉で、

【出汁とって爺さんまだか蕨狩】

と、蕨狩に行った爺さんの帰りを、料理の準備をして待っている婆さんを想像して作りました。

 

三題噺もショートショートも俳句も、肩に力を入れすぎると、どうもうまくいきません。

 

これを例によって例の友人に話しましたところ、

「キミの場合、肩に力が入っていようがいまいが関係ないだろ。まぐれ当たりなんだから……」

 

ちなみに、本日、伝楽亭で俳句会が催されます。

よろしければ、皆様、お越し下さい。

《三題噺の会IN奈良》反省会

《三題噺の会IN奈良》で出ましたお題は、

奈良の大仏〉〈三日月〉〈ガラスの少年〉

でした。

〈ガラスの少年〉は、これを歌って大ヒットさせたキンキキッズの堂本君が(堂本君ですが……)奈良出身ということで出されたようです。

 

今回のお題について、たとえば、桂米朝師の、

奈良の大仏で有名な東大寺に盗みに入った泥棒が、南大門の仁王に見つかってつかみあげられて、床にべちゃっと叩き付けられたとたんに、ぶっと一発屁をかましてふりかえって、

『におう(仁王)か』

という小噺を披露すればよかったな、と今さらながら後悔しております。

 

奈良の大仏様の目が内側に落ちたときに、子供を連れた老人が訪れて、鉤のついた縄をその目の縁に引っ掛け、子供がその縄を伝って中に落ちた大仏様の目を内側からはめて元通りに直しました。でも、そうなると子供は中から出てこられません。どうなることやらと、たくさんの見物人が見ておりますと、子供は大仏様の鼻の穴から出てきました。

『ああ、目から鼻へ抜けた』」

という、江戸時代の小噺も紹介すればよかったな、と今さらながら後悔しております。

 

「戦乱にあって奈良の大夫様が野晒しになってりましたときに、夜中に大仏様のお顔にどろを擦り付けるけるということが二日続いたときに、さすがに坊さんたちも怒りまして、三日目の晩にちょうど泥を擦り付けている不届きものをつかまえました。

『大仏様の顔に泥を擦り付けて、許されると思うか』

と坊さんたちが言いましたら、

『今夜までは許させる』

『なんでや』

『仏の顔も三度まで』」

という、自作の小噺も紹介すればよかったな、と今さらながら後悔しております。

 

後悔しきり、反省ばかりの会でした……

《三題噺の会IN奈良》の教訓

昨日の《三題噺の会IN奈良》は、おかげさまで満席の大盛況でした。

「古々粋亭でこれまでに開催されたプロの噺家の落語会より、たくさんのお客様がお越しだった」

と常連の方がおっしゃっていました。

やはり、五月家ちろり嬢の集客力には脱帽するばかりです。

(オイ!)

 

滋賀県能登川の会に倣いまして、三題噺を口演した四人の中から誰がよかったのかを、お客様の挙手によって判定いたしましたところ、能登川に続きまして、田舎家かかし師が文句無しの一番となりました。

続いて多かったのが、隣乃玄関師で、アタクシは来てくれた知人、三人のおかげで、三位となりました。

近江家八景師は、今回も最下位となってずっこけ、三題噺の会で一番の笑いをとってくださいました。

案外、これがおいしいところでございますが……

 

四人で伝楽亭を中心に開催いたしております三題噺の会ですが、回を重ねるごとにかかし師と玄関師の力量が上がってきておりますのは、ひとえに二人が古典落語をしっかりと身につけてきたからだと思います。

当初は、噺を組み立てるのにとまどっていた感がありましたが、最近はある程度慣れ、また自信もついてきたのか、いい噺を披露してくれます。

 

アタクシと八景師は、〈古典落語を覚えるのは面倒くさいコンビ〉でございますから、その差が歴然と表れているように感じました。

にも関わらず、5月の伝楽亭における三題噺の会には、性懲りもなく八景師とずっこけ噺を創ってみようかと思います。

 

え?

(八景師が本気で古典もやりだして力をつけていったらどないすんねん)

大丈夫です。

八景師が、アタクシを裏切るようなことは……

アタクシは、八景師を信じておりま……

 

八景さ〜ん!