復活!三方良しの《お主も悪よのぉ》

週刊『漫画ゴラク』(日本文芸社)に、〈お主も悪よのぉ〉(作・村田青氏 画・横川直史氏)が再開されました。

 

火事の跡地に遊郭を作るのに、近江商人の心得、

 

《三方良し》(売り手良し 買い手良し 世間良し)

 

を掲げていますが、これを良しとしない人物が現れて、さて、これからどうなるのでしょうか……

 

物書きの端くれといたしましては、書き手良し、読み手良し、世間良し、といったところですが、読み手も世間もなかなか……

 

高座に上がる者といたしましては、演者良し、聞き手良し、世間良し、といったところでしょうか……

 

総合型リゾート(IR)誘致で、世界中から観光客を呼び込むことができれば、地域経済も活性化して、

 

《三方良し》(売り手良し 買い手良し 世間良し)

 

になるかと思いきや、ギャンブル依存症を助長するということで、誘致に反対する意見も報道されます。

 

産地やメーカーの都合がよくない場合もあれば、買い手も不都合を承知で購入することもあるのが現代の市場経済ですから、ましてや世間の良しとはなかなかいかないように思います。

 

アタクシ、物書きの端くれといたしましては、書き手良し、読み手良し、世間良し、と参りたいところではありますが、読み手も世間もなかなか良しとはおっしゃってくださいません……

 

アタクシ、高座に上がる者といたしましては、演者良し、聞き手良し、世間良し、と参りたいところですが……

 

アタクシ、カラオケで歌う者と……

 

ボカ! ドス! ゴン!

栃ノ心関の大関昇進をお祝い申し上げます!

大関昇進を全会一致で決めた日本相撲協会から昇進を伝えられた栃ノ心関が、

 

《親方の教えを守り、力士の手本となるように稽古に精進します》

 

と口上を述べたという報道がありました。

 

メデイアに並べられた過去の口上は、貴乃花関の、

「不撓不屈」

若乃花関の、

「一意専心」

白鳳関の、

「全身全霊」

といった四字熟語から、

大関に恥じぬよう」

大関の名を汚さぬよう」

といった言葉、その他、

「日本の心をもって」

「お客様に喜んでもらえるよう」

など、それぞれの力士の思いが滲んでいます。

 

でも、今まで

《親方の教えを守り》

《力士の手本となる》

と口上で述べた関取はいなかったと思います。

 

ちょっと意地の悪い見方をいたしますと、これまで力士たちは、親方の教えを守ることを忘れ、力士の手本となることなど、考えもしなかった、ということになるのではないかと思います。

 

《師の教えを守る》

《後輩の手本となる》

 

相撲に限らず、どんな世界にも通じることかと思います。

 

世の中がなんだかおかしくなっているとしたら、それはこうした思想が失われてきたからではないかとも思いますが、さらに申し上げるなら、その根本となるべき、師たる者の資質と覚悟が蔑ろにされているため、とも思われます。

 

わかっております。

師の教えを守ってもいなければ、誰の手本になってもいないアタクシが言うのが間違っておりますことは……

名言の本質〜糸賀一雄先生の御言葉〜

いわゆる名言は、歴史に名が刻まれた人物、あるいは著名なスポーツ選手や政治家の言葉を中心に、人々にもてはやされているようです。

 

知的障害のある子供たちに生涯を捧げた糸賀一雄先生は、障害者福祉に携わる方にはよく知られていますが、一般の人にはあまり知られていません。

その糸賀一雄先生の信念とも言える言葉が、

 

《この子らを世の光に》

 

です。

 

長年福祉に関わるアタクシの友人は、

「この子らに光〝を〟、ではなく、この子らを光〝に〟、と〝に〟と〝を〟、助詞を入れ替えて実践された」

と、ことあるごとに熱く語っています。

 

助詞を入れ替えたこの言葉は、それまでの障害のある子供たち〝に〟光を当てて福祉を充実させよう、という呼びかけから、その子供たち〝を〟光とすることによって社会は豊かになるという考えへの転換を示しています。

 

何かを成し遂げた方の名言には、それまでの人々の視点を変え、概念を覆す働きがありますが、助詞を入れ替えるだけでそれが可能だということです。

 

たとえば……

 

申し訳ありません。

いい例が思いつきません。

 

言うは易しするは難し……

 

糸賀一雄先生のような大きな志と強い信念が視点を変えて概念を覆すであろうことを考えましたら、小手先のテクニックで名言など生まれるはずがないということかとも思います。

 

え?

(それがわかってるんやったら、小手先でブログ書いてたらあかんやろ!)

でも、それをやめたら、このアタクシに何が残りますのや……

ほろ酔い寄席から〜笑福亭生寿師に弟子ができたら……〜

昨夜、フジタホテル奈良にて、『ほろよい寄席』が開かれました。

 

いつもながら、主任を務められた旭堂南左衛門師の左甚五郎も笑福亭仁喬師の『二十四孝』も大変よろしゅうございました。

もう一人、ゲストでお越しいただきました笑福亭生寿師は、主催者の野田さんからのリクエストで『禁酒関所』を口演されましたが、

「あとで酒席がありますけれど、苦情は依頼された野田さんまで……」

とおっしゃりながら、見事な『禁酒関所』を見せてくださいました。

(なぜ、酒席を前に『禁酒関所』がいけないのかという点は、落語にお詳しい方にお尋ねください)

 

アタクシ、ずいぶん久しぶりに拝見いたしまして、芸風から風貌から笑い方から、師匠の笑福亭生喬師にすっかり似てきたなぁ〜、と思いました。

 

ちょいちょい親子会も催されていることは存じておりましたが、これほど師匠に似てきた師弟を見るのは、初めてかと思います。

 

酒席で近くにいらっしゃいました方から、師弟関係の芸名についてご質問がございましたので、

松鶴師匠の御弟子さんが、松の字をいただいた松喬師匠で、その喬の字をいただいた生嬌師匠の生の字をいただいて生寿師ですから、彼に弟子ができますと寿の字をいただいた弟子は、笑福亭寿限無寿限無五劫の……」

 

ボカ! ドス! ゴン!

『第2回自作落語の会』〜それがどないしたんやレポート〜

昨日、伝楽亭にて、『第2回自作落語の会』が開催されました。

 

チラシも作っていない、SNSなどでお知らせもしていないにも関わらず、12人ものお客様がお出でくださりまして、誠にありがたいことと演者一同喜んでおります。

 

ありがとうございました。

 

八景師は、みんなをハラハラさせながら、例によって桃色の着物で美人局の噺をされ、かかし師は、古典落語〈元犬〉のオマージュ、〈モトヒト〉を披露、玄関師は、前回に劣らぬ切ない人情噺を演じ、猿之助師はお風邪を召しながらもお得意の自作落語で名人芸を見せてくださいました。

 

アタクシは、かかし師、玄関師、八景師が披露された落語を、それぞれがどのように創作していったかということを例に、創作の方法をマクラで振ってから、『盗人噺の会』で口演を予定しておりました〈盗人閻魔〉をさせていただきました。

 

地獄で閻魔大王が不正を行っているという情報を鬼から仕入れて、閻魔大王の不公平なお裁きと不正を激しく追及する盗人を、鬼が、

「あれはたいした盗人や」

「そうなんか」

閻魔大王の、お株を奪いよった」

 

終演後の打ち上げで、アタクシ、常連さんから褒められました。

「いやあ、とてもよかった。マクラが……」

サワコの朝から〜堀越希美子さんのお話〜

今朝の《サワコの朝》(MBS)のゲストは、堀越希美子さんでした。

 

十二代市川團十郎さんの奥様で、十一代市川海老蔵さんのお母様でいらっしゃいます。

 

お見合いでご結婚された話から、梨園でご苦労されたお話、白血病になって五年前にお亡くなりになった團十郎さんのお話、ご子息海老蔵さんとその奥様で癌で亡くなった小林麻央さんのお話など、ほんとうに悲しく辛いことでも、品のよい話し方を崩さずにされていたのは、歌舞伎の世界で鍛えれたのか、それともご両親の賜物なのか天賦のものなのでしょうか……

 

佐和子さんの、

「お友達に愚痴なんかはこぼさなかったんですか?」

という問いかけには、それをしてはいけないという決意を感じさせるお答えをされました。

 

團十郎さんは、ご病気になってから明るく何でも話されるようになったそうですが、それまでも希美子さんのお話はしっかりお聞きになっていたそうです。

 

希美子さんが選ばれた2曲は、松任谷由実さんの『ヒコウキ雲』とサザンオールスターズの『いとしのエリー』。

 

いいお話でした。

《無用》と《禁止》

《無用》

には、

〈いらないこと(役に立たないこと)〉

という意味と、

〈してはならない〉

つまり、〈禁止〉という意味があります。

 

たとえば、

〈天地無用〉

〈問答無用〉

〈他言無用〉

などは現代でも使われておりますが、

〈立ち入り無用〉

の代わりに、

〈立ち入り禁止〉

が一般的に使われるようになっいます。

他に、

〈貼紙無用〉

〈解放無用〉

なども、

〈貼紙禁止〉

〈解放禁止〉

と、〝禁止〟に取って替わられている言葉も少なくないように思います。

 

と申しましても、

〈発売禁止〉

〈出入り禁止〉

を〝無用〟に置き替えることは難しいように思います。

 

単に置き替えるのではなく、二つ合わせて新しい言葉を創り出すのも一興かと思います。

 

たとえば、

〈禁止無用〉

なんてことも可能かと思いますが、このアイデアをいったい誰が世の中に広めていってくれるのか、てなことを考えますと、

「拙ブログが面白くないからといくら言っても、〈禁止無用〉です……」

 

あるいは、

「拙ブログについては〈無用禁止〉とするべきではないかとも思いますが……

 

「こらっ!〈禁止無用〉と〈無用禁止〉はどないちゃうんや!」

 

ええと、おやすみなさい……