2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧
『つる』と『阿弥陀池』に共通しております人間の心理は、 「誰ぞに面白い話を聞かせてあっと言わせたい」 「誰ぞにあっと言うような話を聞かせて自分を大した奴やと思わせたい」 なんて願望があるところであろうかと思います。(知らんけど) 『つる』では…
一昨日の『たがや』で、上方落語には人を死なせてオチにする噺はない、てなことを書いてしまいましたが、申し訳ありません。ありました。 欲をかいて捕まえた何羽もの鷺によって、四天王寺の五重塔の上に置き去りにされた男を救うために、お寺の坊さんが四人…
落語が面白いのは、そこに人間の欲望がにじみ出ているからです。 その最たるものの一つが女性にもてたいという願望で、それをかなえる条件を示してくれているのが、『色事根問』です。 女性にもたてたい男が、ずばり、どないしたらもてるか、と相談を持ち込…
江戸落語の『たがや』は、示唆に富んだ噺かと思います。 花火大会で押すな押すなの人が行きかう両国橋に、馬に乗った侍が家来を連れて通ろうとするのへ遭遇して無礼を働いたたが屋を描いた落語で、武士階級に対する反抗を描いた落語である、てな論評が『たが…
原初の落語が、言葉遊びから発しているとするなら、『道具屋』は、落語を作る基本のわかる噺ではないかと思います。 そこに並ぶ道具、商品を、言葉遊びによって挙げていきます。 たとえば、のこぎり。 「その、のこ、見せて」 「のこにある?」 というのはダ…
昨日、『第二十五回住道寄席』に足を運びました。 毎度のことながら、たっぷり笑わせてもらいました。 これまで何度も聞いてよく知っている、てな噺でも、やはり笑ってしまうというのは、噺自身が備えている面白さと、演者の力であることは、言うまでもあり…
『化物つかい』という落語がございます。 人使いのあらい隠居が、引っ越した先に現れる化物も、それまでに使ってきた使用人のようにこき使うという落語でございますが、登場いたします一つ目小僧や三つ目、女性ののっぺらぼうは、日本の妖怪の定番でございま…
大相撲夏場所13日目で、大関大の里が優勝、横綱昇進を決定づけました。 相撲は、歌舞伎に並んで江戸時代から人気があったそうですが、横綱が番付の最高位とされたのは、明治42年からだそうです。 元来、横綱は強さの指標ではなく、地鎮の儀式、つまり神事と…
落語に、上方落語と江戸落語が存在するということは、落語には地域性があるということです。 ラジオ、テレビの普及が、首都である東京を中心に語られていた江戸落語を日本全国に広めた結果、関西以外の地域では、落語と言えば江戸落語であり、上方落語は視野…
『池田の猪買い』では、猪の身を池田まで買いに行く喜六に道を教えてなお、甚兵衛さんは、 「わからなんだら、人に尋ねはれ。問うは当座の恥、問わぬは末代までの恥、言うさかいな」 と言うて送り出します。 その言葉に従いながら、喜六は、アホな尋ね方をし…
『三題噺の会』で、 「三題噺って、どないしてこしらえますの?」 と、ちょいちょい尋ねられます。 「やっぱり、オチから考えるんですか?」 と、お尋ねになる方は、落語がわかっていらっしゃる方でございます。 三つのお題をどれだけひねくり回したとしても…
昨日、桂南天落語会に足を運んで、久しぶりに『鴻池の犬』を見ました。 落語には、人情噺が一つのジャンルとしてありますが、『鴻池の犬』は、その犬版、犬情噺ではないかと思います。 捨て犬の三兄弟の、一匹は、豪商鴻池にもらわれて裕福に暮らすばかりか…
今から50年ほど前、前回、大阪で万博が開催された昭和45年ごろ、1970年代に桂音也さんがお創りになった『昭和任侠伝』は、二代目桂春蝶師が高座に掛けられて、広く知られるようになった噺でございます。当時のやくざ映画にはまっておりましたアタクシも、好…
落語は、観客をただ笑わせるだけの演芸ではありません。 昨日、ご紹介いたしました『天災』は、心学という学問とはいかなるものか、それを学ぶことによって、人生を変えることができる、けど、人によってはそれが都合よく解釈されて、周囲は余計に迷惑するか…
落語は、ただのお笑いではありません。 人間、どない思うて毎日生きていたらええんや、てなことが、その中に練り込まれているのでございます。(知らんけど……今日はいきなりか~!) その、最たる例の一つが『天災』ではないかと思います。 江戸時代、世間に…
しゃべることで観客をその世界に引き込んで笑わせる落語には、そこに使われる言葉とともに、仕草も欠かせません。 その場の状況をお客さんにイメージさせるのはもちろんのこと、言葉と仕草の矛盾が笑いを呼ぶテクニックの一つにもなっています。 ただ、仕草…
おそらく、東西の落語の中でも最も長いのが、『地獄八景亡者の戯れ』でしょう。 「これがでけたら一人前や」 てなことも言われる大ネタでございますが、近年、プロでもアマチュアでも、二人、三人掛かりで演じられています。 おそらく、この噺も、受け継がれ…
芝居噺や人情噺といった分類はよく耳にいたしますが、地獄噺も落語のカテゴリーに加えてもいいかと思っております。 地獄噺の代表は、なんと申しましても、大ネタ、『地獄八景亡者の戯れ』ですが、他に『死ぬなら今』『お血脈(けちみゃく)』といった噺がご…
2025年大相撲夏(五月)場所も盛り上がっているようでございます。 相撲人気は今も昔も変わらぬようで、落語にも『花筏』『相撲場風景』『大安売り』『半分垢』など、噺はぎょうさんありますが、中でも人気は『幸助餅』やないかと思います。 相撲に肩入…
昨日、『第四回 ベタに素人落語勉強会』を見に行きました。 素人落語と申しましても、桂祭蝶師、千里家一福師、団子家みたらし師がご出演となれば、ベタ、つまり、ひねりがなく面白みに欠ける落語会ではありません。 開演前に、 「先日、よそでやったネタで…
落語には、お寺の噺がありまして、上方でしたら、たいがい、ずくねん寺、てな怪しげな名前のお寺が『八五郎坊主』や『ちょうずまわし』なんかに出てまいりますが、とにかく、落語に出てまいりますお寺に、立派な寺院はございません。 けれども、そうは申しま…
「あちゃちゃちゃちゃ」 と、合いの手が入って歌う米津玄師さんの『死神』は、改めて述べるまでもなく、江戸落語の『死神』をモチーフにしています。 江戸落語の『死神』は、初代三遊亭圓朝師がグリム童話『死神の名付け親』を翻案した噺やということは、広…
たとえば、『寄合酒』では、鯛を捌いている男が、近寄ってきた金物屋の赤犬をどうしたものか尋ねる場面があります。 聞かれた男が、 「頭でも尻尾でも、ばーんとくらわしたれ」 言うと、 「尻尾ぐらいやったらええやろ」 と言いながら、聞いた男は鯛の尻尾の…
一昨日、満福亭ゆ乃月さんの『ちりとてちん 芸者版』を拝見しました。 古典落語『ちりとてちん』を、桂あやめさんが改作された噺です。 もともと、『ちりとてちんん』に、女性は登場しませんが、喜び上手の喜六とタケを、愛想のよい芸者と、美人だけれどちょ…
昨日、社会人落語家、立の家やよいさんの『蛸芝居』を拝見しました。 タイトルの通り、蛸が芝居をする噺ですが、 「こんな芝居、あったかな」 と言いながら、丁稚がいろんな芝居を次々と始めます。 この丁稚をはじめ、店の者一同が芝居好きという設定にはな…
昨日、愛知県は豊橋市の富久有で開催されました落語会に足を運びました。 江戸、上方、そして名古屋を中心に活動する、それと名の知れた実力派の社会人落語家10人が共演するという、実に贅沢な落語会で、アタクシ、三年分ぐらい笑いました。 うかがいます…
今日は、言わずと知れた子どもの日です。 日本の15歳未満の子どもの数は、ず~っと減りづづけているそうです。 いわゆる少子化現象の原因については、大人を取り巻く社会的要因が取りざたされて、やれ、カップルを増やせだの、新婚生活を支援しまっせ、出産…
上方落語の登場人物と言えば、アホの喜六とツッコミを入れる友だちの清八、町内の生き地獄の甚兵衛はん、ほか何人か決まっていますが、その噺にしか出てこない人物もちょいちょいいらっしゃいます。 極めつけは、やはり『らくだ』(駱駝の葬礼〔そうれん〕)…
上方落語の『帯久』の、帯屋久七は、悪い奴やと思われています。 設定としては、どこなく陰気でなんとなく一癖ありそうな人物、売れず屋、と言われるほど繁盛してない帯屋の主人です。 まあ、ホンマの悪人やったら、もっとあくどいやり口で稼いでいるんやな…
『女の嫉妬より男の嫉妬の方が恐い』 と、よく言われます。 なぜなら、男の嫉妬は、嫉妬された人物の人生を変えてしまうから、だそうです。 落語の『柳田格之進』でも、主人公の柳田格之進のみならず、娘の人生も変えられてしまいました。 騒動になったそも…