2025-01-01から1年間の記事一覧

結わえていた髪をといた理由

ここ一年ほど、髪を切っていません。 伸ばした髪を束ねて、総髪に結いたいと思っているからですが、まだ、それには少し足りない今の状態でも、ちょっとやってみますと、 「アーティストみたい」 「ライオンみたい」 といったカッコイイ表現をしてくれる方も…

伝楽亭米珠生誕百年祭落語会

本日、大阪千林の伝楽亭にて、『伝楽亭米珠生誕百年祭落語会』(城北迷人会プロデュース)が開催されました。 伝楽亭米珠さんは、御年88歳から伝楽亭で落語を始められた方です。残念ながら95歳でお亡くなりになりましたが、御存命なら、今年100歳にな…

『紺屋高尾』~晦日に月が出る噺~

「女郎の誠と卵の四角、あれば晦日に月が出る」 てな言葉を知っているのにもかかわらず、 「遊女は男をだまして金を巻き上げるもの。こいはこいでも、金持ってこいや」 てなことが、頭ではわかっていても、 「こいつはわしだけに惚れている」 なんて信じてし…

『三枚起請』

教会であっても神社であっても、あるいは寺院であったとしても、結婚式を挙げる理由は一つです。 二人が、少なくとも一方が死ぬまで愛し合うことを神仏に誓うためです。 ということは、神仏に誓わなければ、死が分かつまで二人は愛し合うことができない、と…

『星野屋』効果

石川さゆりさんの『天城越え』(作詞・吉岡治さん 作曲・弦哲也さん)には、 「あなたを殺していいですか」 中西保志さんの『最後の雨』(作詞・都志見隆さん 作曲・富田素弘さん)には、 「君を壊したい」 という、物騒なフレーズがあります。 せっかくの名…

『高津の富』~一獲千金の秘策~

皆からちょっとずつお金を集めてまとまった額になったら抽選で当たったモンにその金を渡すというのが、富くじ、現代で言うところの宝くじでございます。 江戸時代、寺院の造営、再建などを名目に寄付を募るところから始まっているそうですが、収益の一部が公…

『おごろもち盗人(もぐら泥)』『芋俵』~盗人の企画能力~

落語には、盗っ人の噺がぎょうさんございます。 なんでそないにぎょうさんあるのかと申しますと、寄席で盗人をなんぼぼろくそに言うても、それを聞いた盗人が苦情を申し立てることはないからだそうです。 たいがいは、金目のモンがない、戸締りもせえへえん…

『怪談市川堤』

「怪談噺の型」 と、おっしゃいながらお語りになった、二代目露の五郎師(二代目露の五郎兵衛師)の『怪談市川堤』を拝聴しましたのは、もう昔のことでございます。 桂米朝師も、同じく『怪談市川堤』を「怪談噺の型」とおっしゃっていますが、残念ながら、…

『試し斬り』~魅せられたのは刀剣乱舞か妖刀か~

いわゆる名刀が人間として活躍するアイドルグループ『刀剣乱舞』の登場から、日本刀が注目されるようになったかと思います。 それ以前から刀に興味があった私に、あるとき、後輩の女性が、 「先輩は、どの刀が好きですか?」 と問いかけてきましたので、 「…

今日の『宗論』。

『宗論』は、落語だからと言うよりは、日本だからこそでけた噺やないかと思います。 「神様と仏様、名前が違うてはおりますけれど、いずれもおんなじお方」 という番頭のセリフが象徴するように、目に見えない大きな力、エネルギーのような存在を、世界の東…

『鬼の面』と『でっちあげ』

先日、映画『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』(三池崇史監督)を観ました。 福田ますみさんのルポを映画化した作品で、原作も読んでいました。 ルポ、映画が、現代社会の問題点をあぶり出している点を、多々 挙げることはできます。ただ、子どもに焦点を…

『桃太郎』~悪即斬を笑う~

昔話の『桃太郎』を、寝物語に親から聞いた記憶は、ワタクシにはございません。 聞いていたはずの昔話を、単に忘れているだけなのかもしれませんが、簡単なストーリーを記しただけの絵本を眺めていて、 「鬼が島に行って鬼を退治した桃太郎が、その鬼たちの…

『代書屋』の「せいねんがっぴ」

落語は、師匠から弟子へ、いわゆる口移しに語り継がれる伝統芸能であると一般に考えられているとしたら、同じタイトルの落語は、誰が語っても、みな、おんなじや、と思っていらっしゃる方は、少なくないかもしれません。(知らんけど) もちろん、内弟子のこ…

時代を駆け抜けた『稲荷俥』と『反対俥』

現在、一部の観光地を走る人力車は、明治3年に日本で発明されたそうです。 当時の人気の噺家が、お抱えの人力車に乗って演芸場をはしごした、てなエピソードもあるほど、利便性の高い乗り物だったようです。 単に利便性があって楽だということの他に、俥を走…

おまけ・幸助氏は酔っ払いの暴力を止められるのか?

酔っ払いが駅員に暴力を働く事案が少なくないのか、駅には、そうした行為の自制を求める啓発ポスターが、もう何年も掲示されています。 これを見て、 「なんや、このポスター。気に入らん!」 なんて酔っ払いが、乱暴狼藉に及ぶのでしょう。 ここで、胴乱の…

『胴乱の幸助』とドラッガー

会社一筋、仕事一筋で定年退職を迎えたオッサンが、その後、暇な毎日をどないして過ごすか、てなことが社会的な話題、あるいは問題になって、 「第二の人生を謳歌するために、こんなことをやりましょう!」 なんてスローガンが掲げられたのは、昭和、平成の…

『隣の桜(鼻捻じ)』『たけのこ』落語的ご近所トラブル解決法?

竹と申します植物は、群れてぎょうさん生えておりますが、根はひと続きでございます。言うたら、皆、兄弟みたいなもんですが、その兄弟のすべてが、人間の定める境界線に従うておとなしゅう生えるわけではありません。境界線となる塀を土中ひそかにかいくぐ…

『西行鼓ヶ滝』~名人の器~

落語は奥の深い芸でござます。 どれぐらい深いかと申しますと、『七度狐』に騙されて麦畑を大きな川と思い込んだ喜六と清八が、 「深~いか、浅いか~」 と声をかけながら足先で探って歩く程度の深さではございません。 深みにはまると、もう、確実に溺れて…

『金明竹』

落語は いろんなお方が登場して、コミュニケーションとは何ぞや、てなことを広く皆さんに示唆する芸でもございます。 それを如実に表しておりますのが、『金明竹』かと思います。 これをマスターしたら誰でもうまくコミュニケーションがとれて、人間関係が良…

『看板の一』から透かして見る人間評価論

先日、 「ネット上で誰が操作しているかわからないのに、どうしてオンラインカジノに手を出すんでしょうね」 てな話を、知人といたしました。 いかさまだという証明はできませんが、疑ってかかるのがいいかと思います。 目の前で行われているのにもかかわら…

『千早振る』~解釈技法~

『小倉百人一首競技かるた全国大会』(全日本かるた協会)が開催されて、誰それが今年のかるたクイーンになりました、という報道が毎年されています。 日本の中学校や高校では、今でも百人一首を生徒に覚えさせて、試験問題にするばかりか、学校の行事として…

『二人ぐせ』……つまらん?

テレビ朝日の『相棒』に登場する、水谷豊さん演じる杉下右京は、 「細かいことが気になってしまうのが、僕の悪い癖」 と言いながら、疑問を相手に投げかけて事件の真相に迫ります。 細かいことを聞かれて不快になる、あるいは不安になる、つまり、聞かれて都…

『向う付け』~愛される人間の条件~

昨日、落語通の女性とお話をいたしておりましたところ、 「あまり落語を知らない人は、ごりょんさん(御寮人さん)を、佐藤さんとか田中さんとかと同じように、誰かの名前やと思うてますね」 ということをおっしゃいました。 たとえば、『向う付け』で、亡く…

『つる』の甚兵衛さん

某大学の落語研究会では、新入部員全員に『つる』を最初に課すそうです。 なぜかと言うと、落語の基本事項が『つる』にいっぱいつまっているからだそうです。 出だしの、 「こんにちは」 から、どないな声で言うたらええのんか、考えなあきまへん。 「こっち…

『夏の医者』~吞まれたときの薬~

落語に名医は登場しません。 大方は、藪医者です。 寿命医者やら手遅れ医者やら葛根湯医者やらすずめ医者やら、医者を揶揄する言葉はいくつもございます。 まれに、名医と呼ばれる方が出てまいりますが、 「金が好きで貧乏人が嫌い」 てな御仁でございます。…

『悋気の独楽』

落語には、『悋気の独楽』『悋気の火の玉』、といった、[悋気(りんき)]を冠した噺がございます。 [悋気]てな言葉は、現代では死語になってしまった感がございますが、要は[嫉妬][ジェラシー]でございます。 どちらも女性の嫉妬を主題としておりま…

『ぞろぞろ』~信心とご利益の共生関係~

神様をも笑いにしてしまう落語は、恐ろしい演芸だと思います。 いえ、恐いもの知らずでございます。 よその国、特にキリスト教など、一神教を信奉する国においては、神様を笑いの俎上に乗せるなんてことをいたしますと、たちまち神罰が下るような、絶対にあ…

ミステリー噺『ふたなり』

人間は、謎に惹かれる生き物のようです。(知らんけど) ミステリー小説の書き方として、 「最初に死体を転がせ」 てな言葉もあります。 実際、刑事ドラマなんかでは、死体が発見されるところから始まりますが、このような教えは、落語の世界にはございませ…

『癪の合薬(やかんなめ)』~可内はどこからきたのか?~

『たがや』を代表に、落語では武士を目の仇にするイメージがありますが、中には、ほのぼのとしたお武家も登場する、『癪(しゃく)の合薬』てな噺もございまして、ワタクシ、結構気に入っております。 北辰一刀流で無骨に生きているぞ、なんて偉そうにしては…

『あくびの稽古』の発表会!

『何によって憶えられたいか』 というドラッガーの言葉が、昨今、世の中に出回っているようです。 改めて尋ねられると、???、てなもんが頭の中を飛び回るか方も少なくないように思いますが、世の中のお稽古事を観ておりますと、 「わしは、こないなことが…